2013 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックな構造変化が駆動する鉄硫黄クラスター合成機構の全容解明
Project/Area Number |
12J01292
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平林 佳 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 鉄硫黄クラスター / 鉄硫黄タンパク質 / X線結晶構造解析 / 構造変化 |
Research Abstract |
鉄硫黄(Fe-S)タンパク質は生物界に普遍的に分布しており、呼吸、光合成から遺伝子制御に至るまで生命活動の根幹に関わる反応を担っている。それらの機能を支えるコファクターがFe-Sクラスターである。このFe-Sクラスターの生合成は、複数のタンパク質群が担っていることが近年の遺伝学的研究から明らかにされた。SUFマシナリーはその代表であり、6種類のタンパク質(SufA、SufB、SufC、SufD、SufS、SufE)から構成されている。本研究では、マシナリーの心臓部といえるSufB-SufC-SufD複合体に焦点をあてた。この複合体は、SufCのATPase活性(ATP依存的なダイマー化)に共役してダイナミックな構造変化を起こし、これに伴って分子内部に埋もれた必須残基が露出し、鉄と硫黄原子をFe-Sクラスターへ変換することが予想されている。本研究では、構造解析と機能解析の両面から、SufB-SufC・-SufD複合体を中心とするFe-Sクラスター合成装置の作動メカニズムの全容解明を目的とした。将来的には本研究を基盤とした応用技術展開(創薬分野、特に微生物やマラリヤ原虫をターゲット)の可能性は計り知れない。 今年度は、SufB-SllfC-SufD複合体に焦点を当てた、生化学/結晶学的解析によって、以下のような成果が得られた。1. 前年度に作製した変異導入SufB-SufC-SufDを用いた架橋実験から、これまで予想していた大きな構造変化を生化学的に実証した。2. 微量蛍光分析系の立ち上げを行い、蛍光ラベル剤を用いて、変異導入SufB-SufC-SufD複合体のATP依存的な構造変化に伴う分子内部の疎水領域の露出を検出することに成功した。3. 前年度に引き続き、野生型および変異導入SufB-SufC-SufDの結晶化条件の最適化を行い、良好な結晶を得ることができた。4. 大型放射光施設SPring-8において、作製した結晶のX線回折測定を行い、データセットをいくつか回収することができ、現在解析を進めている。 以上の成果は、本研究の目的達成に向けた一連の実験の中でも、特に重要なポイントにあたり、今後の実験計画を遂行・達成するにあたり、非常に有意義な結果であるといえる。また今年度は、ここまでの結果について、国内外の学会で計9同の成果発表を行い、その成果が認められ口頭発表賞も受賞している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」の達成のため、本年度の研究実施計画に基づいて実験を遂行した結果、概ね予定通りの成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は現在のところ概ね順調に進展しているため、今後の推進方策については、今年度の研究成果を踏まえ、次年度以降も、研究計画調書に記載した研究実施計画に沿って実施していく予定である。
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Research Products
(9 results)