2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの態度・動機づけへの社会的・認知的影響の神経基盤の検討
Project/Area Number |
12J01341
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
出馬 圭世 玉川大学, 脳科学研究所, 特別研究員(SPD)
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Keywords | fRMI / 態度 / pMFC / バランス理論 |
Research Abstract |
24年度は脳機能イメージング装置(fMRI)を使用し、当初予定していた「認知的一貫性動機が態度に与える影響」を検討する実験を行った。約2ヶ月に渡り予備実験とあわせて被験者30名ほどから脳画像データを取得した。 この研究は社会心理学における主要な理論の一つであるバランス理論(Heider,1958)に基づいた態度変化の神経基盤を明らかにした世界で最初の研究である。ヒトの態度や好みは他者からの影響を受けるが、その影響の受け方はその他者が誰か(その他者に対しての自分の態度)にも依存する。例えば自分と仲の良い友人とは好みが似てくる傾向があるが、逆に自分の嫌いな人とは好みが異なるようになる。バランス理論によるとこれは、1)自分、2)他者(友人or嫌いな人)と、3)物(音楽、食べ物、服装など)の三者間の認知的なバランスを保つ動機によって説明される。つまり大好きな友人と異なる好みを持っている場合や、嫌いな人と同じ好みを持っている場合は共に認知的なバランスを欠いた状態であり、そのバランスを取り戻すために好みの変化が促される。 fMRIを使った脳スキャンの実験の結果、認知的なバランスを欠いた状態を知覚すると脳のposterior medial frontal cortex(pMFC)という場所が活動し、その活動の程度は後の好み変化と関連するということが明らかになった。またこの認知的なアンバランスによる好み変化は、報酬に基づく学習と同じ神経基盤を持つ可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
約30名からの脳データ取得、その解析を予想を上回るペースで行うことができた。さらにその結果についての論文は既に米国の一流雑誌に受理されている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していた通り、今後は経頭蓋磁気刺激法(TMS)などを用いてある部位の脳活動を一時的に抑制することによりpMFCが"認知的な一貫性に基づく態度変化"に果たす役割をさらに詳しく検討していく。
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Research Products
(5 results)