2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01401
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
田川 道人 岐阜大学, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘモプラズマ / 牛 / エゾシカ / 牛白血病ウイルス / 小型ピロプラズマ / 干渉現象 / PCR / γδTcell |
Research Abstract |
1)沖縄県北部地域における牛ヘモプラズマ浸潤状況調査 沖縄県北部の2農場に飼養される黒毛和種牛30頭から末梢血液を採取し、ヘモプラズマ特異的PCRを行った。その結果、23頭(67.7%)がPCRで陽性を示した。対象牛は採血時サシバエなどの吸血節足昆虫に重度に暴露されていたことから、今後それら媒介昆虫がヘモプラズマの媒介に関する役割を明らかにする必要がある。また血液性状をヘモプラズマ陽性牛、陰性牛間で比較したところ、両者に差はみられず、病原性が弱いとされるM. wenyoniiが感染の主体であったことによると思われた。 2)鹿に感染するヘモプラズマの解析 北海道釧路管内の阿寒町に生息するエゾシカ51個体の末梢血DNAよりヘモプラズマの検出を試みたところ、23個体(45,1%)で陽性を示し、それらは'C. M. haemocervae'および'C. M. erythrocervae'であった。16S、23S rRNA、rnpB遺伝子解析の結果、国内シカ由来ヘモプラズマは海外種とは別種である可能性が示唆された。 3)ヘモプラズマと牛白血病ウイルスの関連調査 北海道十勝管内の広尾町の一農場に飼養されるホルスタイン乳牛47頭の末梢血液を用い、血液検査を行った後、Taqman Real-time PCR法にてヘモプラズマコピー数の定量を行ったが、両者に有意な関係は認められなかった。4)ヘモプラズマと小型ピロプラズマの干渉現象の病態解析末梢血白血球のフローサイトメトリー解析によりヘモプラズマと小型ピロプラズマの干渉現象の病態解析を行った。その結果、小型ピロプラズマ単独感染牛ではγδTcell、CD4陽性Tcell、CD8陽性Tcellの低下とBcellの増加がみられたのに対し、混合感染牛ではTcell系の低下はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた感染実験を除き、概ね計画は遂行されたものと思われる。また、大学院を1年短縮し、3年で修了できたことも、計画が順調に進んだ結果であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
大学院が修了したことから、次年度は受け入れ研究者を変更し、新たな環境で研究をスタートする予定である。そのため新しい環境や実験設備に慣れるまで時間を有すると思われ、年度のはじめころは研究計画は思うように進まないものと思われる。一方で新たな環境で得られる、免疫学的な解析手法やより広範囲なサンプリングなどは、本研究課題であるヘモプラズマ感染における病態把握にさらなる進展をもたらすものと考えている。
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Research Products
(4 results)