2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01417
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三上 統久 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経ペプチド / CGRP / アレルギー / Th細胞 |
Research Abstract |
本研究においてはin vitro,in vivo両方におけるCGRPのTh細胞制御作用を明確にし,そしてストレス負荷時の生理的な作用についても検討を進めた.その結果,CGRPの添加はTh1細胞分化を抑制し,Th2細胞,Th9細胞,Th17細胞から産生されるサイトカインを増加させることを見出した.さらにこのサイトカイン産生促進作用について詳細な機序を解明するため,CGRP受容体シグナル伝達において重要な役割を果たすと考えられるcAMP/PM経路の寄与について検討し,CGRPがPMの活性化を介してTh細胞分化を制御することや,PKAによるサイトカイン産生制御機構としてPKAがGSK-3βの不活性化を介してNFATc2の核内移行を促進するという新たなシグナル伝達経路を見出し,CGRPがこのPKA/GSK-3β/NFATc2という経路を介してサイトカイン産生を促進することも示唆された. 次にこのin vitroで見られたTh細胞制御作用の重要性を評価するため,T細胞特異的RAMP1欠損マウスのアレルギー応答性を評価した.ここではTh9細胞がその発症に寄与する気道炎症モデルとTh17細胞の寄与が示されている脳脊髄炎モデルを用いた.まず表現型に関して種々の解析を進めた結果,両炎症モデルにおいてT細胞特異的RAMP1欠損マウスで有意な炎症反応の抑制が認められた.これはCGRPのT細胞制御作用が生理的にこれらのアレルギー反応を促進していることを示している.またその原因として気道炎症においてはTh9細胞からのIL-9産生量が,脳脊髄炎においてはTh17細胞からのIL-17産生量がT細胞特異的RAMP1欠損マウスで減少していることを見出した.この結果からCGRPがTh細胞分化促進作用を介して様々なアレルギーの悪化に寄与していることが示された.またこのTh17細胞,Th9細胞に対する作用解析を論文として学術雑誌に投稿し,受理された(研究発表参照). 最後に精神的なストレス暴露によるCGRP放出とアレルギー応答性の関連を検討した.精神的なストレスを与えると血中CGRP濃度の有意な上昇が認められ,Th2型皮膚炎症や気道炎症の悪化も確認できた.またその作用はIL-4産生促進やIL-9産生促進作用を介していることも示唆された.そしてやはりRAMPl欠損マウスではストレスによるアレルギー悪化はほとんど見られず,CGRP産生量増加がストレス応答時のアレルギー悪化を引き起こすことが示された. 本研究により,CGRPが免疫系の制御において重要な役割を果たし,さらに神経系の異常に伴うCGRP産生制御の崩壊が免疫系のバランス,ひいてはアレルギー疾患の発症や悪化につながる可能性が示された.このような神経系由来の物質による免疫系の恒常性制御とその破たんによるアレルギー発症機構という新たな生体現象を解明できたことが今後の免疫研究や免疫系疾患の新たな治療戦略につながることを期待する.
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Research Products
(6 results)