2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノサイズ粒子間力から紐解く超高強度コンクリートの流動挙動とその応用
Project/Area Number |
12J01469
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
後藤 卓 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポリカルボン酸系分散剤 / セメントペースト / 凝集・分散 / 粒子間力 / 立体力 / レオロジー / 水和反応 / サスペンジョン |
Research Abstract |
本研究の目的は、ポリカルボン酸系分散剤(以下PCとする)のナノサイズの物性と超高強度コンクリートの粘度を関連付ける数理モデルの構築にある。そこで本年度では、まず数理モデルの精密化として、粒度分布がサスペンジョンの粘性に及ぼす影響を粒子のランダム充填率により評価し、数理モデルに組み込むことに成功した。この成果は2013年度セメント・コンクリート論文集にまとめられている。また、流動時の粘度と静止時の降伏応力ではその粘性の発現機構が異なることから、降伏応力に関する数理モデルの構築を行ない、凝集性のアルミナサスペンジョンを用いて、その妥当性を示した。 次に、水和反応を生じない凝集サスペンジョンに対して、化学構造、分子量が明確であり、主鎖側鎖比の異なるPCを用いて、昨年度に取得した吸着挙動に関するデータに加えて、流動挙動に関するデータを取得した。その結果、モノマーユニット換算でのPC吸着量あたりの粘性低減効果はPCの主鎖長によらず等しく、側鎖の長いPC程高い効果を発揮することが明らかとなった。さらに、数理モデルによる吸着層厚の推定および、粒子表面の錯体反応の考慮によるPC吸着サイト分布の計算の併用によりPCの吸着形態を検討した結果、従来定説とされてきた単分子層の吸着形態ではなく、多層に吸着する可能性が示された。この成果は2013年度セメント・コンクリート論文集に記載されている。さらに、上記と同様の液相、固体表面の条件において、原子間力顕微鏡により、PCの吸着形態を測定したとろ、PC1分子よりもはるかに大きい凝集物が確認され、その吸着層厚さは数理モデルによる推定値と良く一致し、提案する数理モデルの妥当性を示すことができた。 セメント系では、用いるセメント種、PC種を変化させることで、イオン量や水和物量が異なる系に対する吸着挙動と流動挙動の測定を行なった。この成果は、2014年度セメント技術大会にて発表する。また、PC化学構造と吸着形態に対する温度変化の影響についても実験データの取得を終えており、その成果を近く公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(5 results)