2013 Fiscal Year Annual Research Report
逐次二光子吸収分子動力学法を用いたジアリールエテン誘導体の励起状態反応制御
Project/Area Number |
12J01481
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥野 克樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ジアリールエテン / フォトクロミズム / ジラジカル因子 / 非線形光学 |
Research Abstract |
昨年度の研究で、ジアリールエテン誘導体は開環反応の途中で強い開殻性を示すことが分かった。 本年度は基底状態で開般性を示すジアリールエテン誘導体の設計を行い、三次非線形光学物性との相関を調べた。 当研究室ではこれまで、一重項開殻性の指標であるジラジカル因子と三次非線形光学物性との相関を明らかにし、中間のジラジカル因子を持つ分子が、閉殻や完全開殻の分子と比べてきわめて大きな三次非線形光学物性を持つことを示してきた。しかし、これまで探索されてきた分子は単一のジラジカル因子を示す分子であり、ジラジカル因子、ひいては三次非線形光学物性をスイッチングさせる分子の探索は行われてこなかった。 そこで、本研究では閉環体で中岡開般を示し、開環体では完全開殻を示すジアリールエテン誘導体の理論設計を行い、この分子がフォトクロミック反応によって三次非線形光学物性を大きくスイッチングさせることを量子化学計算により検証した。 本研究は、開殻一重項フォトクロミック分子に基づく非線形光学物性のスイッチングの分野を拓くと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はジアリールエテン誘導体に対して多参照法やspin-flip時間依存密度汎関数法の適用妥当性の検討と、開環反応への適用を予定していた。spin-flip時間依存密度汎関数法に関しては汎関数依存性について検討を行い、円錐交差点の構造が用いる汎関数に大きく依存することを確認した。また、多参照法の1つである密度行列繰り込み群の方法のジアリールエテン誘導体への適用を検討し、励起状態の計算に適用できることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で、spir-flip時間依存密度汎関数法のジアリールエテン誘導体への適用妥当性を検討した。以後はこの方法を用いて励起状態のポテンシャルエネルギー曲面の探索を行い、反応機構の解明を進めていく予定である。また、密度行列繰り込み群の方法を高位励起状態の計算に適用し、二光子吸収過程の機構解明を進めていく予定である。
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Research Products
(13 results)