2013 Fiscal Year Annual Research Report
すばる望遠鏡を用いた初期宇宙における構造形成と銀河進化の関連性の解明
Project/Area Number |
12J01607
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
利川 潤 総合研究大学院大学, 物理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 原始銀河団 / 初期宇宙 / 銀河進化 / 大規模構造 |
Research Abstract |
すばる深宇宙探査領域で発見された赤方偏移6の原始銀河団に対してKeck望遠鏡のDEIMOSという装置を使い、さらに分光観測を進め原始銀河団銀河の性質や銀河の3次元分布について詳細に調べた。この観測から原始銀河団領域に存在するすべての銀河に深い分光観測をすることができ、28天体の赤方偏移を同定し、そのうち10天体が集中しており原始銀河団を構成していることを確かめた。これらの10天体の原始銀河団銀河の全体的な性質についてはフィールド銀河と違いを見つけられなかったが、原始銀河団銀河の一部の銀河に対しては赤方偏移6において既にフィールド銀河との違いが生じている可能性がある。次に銀河分布については特徴的な3次元分布をしていることがわかった。10天体は銀河ペアを作るようにしてさらに下部構造を作っていることが分かった。今回発見された原始銀河団は宇宙年齢から考えても銀河団形成の非常に初期段階であると推測できるため、銀河ペアのような小さな構造しかまだ作られておらず、それらが時間とともに銀河集積を繰り返すことにより近傍で見られるような巨大な構造に進化すると予想できる。またすばる深宇宙探査領域と比べて16倍も広い、CHFTLS領域においても原始銀河団探査を進めている。この領域において赤方偏移6だけでなく赤方偏移3から5の原始銀河団探査も同時に行なっており、原始銀河団の存在を確かめるため分光追観測の提案を行った。これらの観測から銀河団形成の初期段階のみならず全体の理解を目指している。これらの観測的な研究と並行して理論モデルとの比較も行っている。その結果、赤方偏移6での銀河の密度超過の有意性と赤方偏移0でのダークマターハロー質量の間に相関があることが分かり、すばる深宇宙探査領域で見つかった原始銀河団は十分に銀河団に匹敵する構造へ進化すると考えられる。また原始銀河団の個数密度も理論モデルから予想でき、CFHTLS領域で見つけられた高密度領域は確かに原始銀河団である可能性が高い。日本天文学会2013年秋季年会、2014年春季年会、また国際研究会にも参加しこれらの結果を報告し議論を深めた。現在、すばる深宇宙探査領域での結果については論文を投稿中の段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計面通り、赤方偏移6の原始銀河団の詳細に研究に加えて、低赤方偏移の原始銀河団探査も開始できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はすばる望遠鏡の新しい観測装置Hyper Sprime Camで行われる大規模サーベイによる原始銀河団探査のためにも理論モデルとの比較を重点的に行う。理論モデルを使うことにより準備研究をしっかり行なっておくことにより、大規模サーベイから得られる大量のサンプルを素早く解析し成果を報告していく。
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Research Products
(3 results)