2012 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性物質を用いた光駆動型一酸化窒素リリースシステムの構築
Project/Area Number |
12J01634
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金 致源 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 一酸化窒素 / 多孔性金属錯体 |
Research Abstract |
(1)有機配位子の合成 今研究ではN-Nitrosaminesからの一酸化窒素放出を利用したいと思い、ニトロ化反応でN-Nitrosaminesに変換できる2,5-bis(methylamino)terephthalic acidを配位子として使うために合成を行った。Diethylsuccinateから1)Claisen-Dieckmann condensation, 2)amination, 3)oxidation, 4)hydrolysisの手順で反応を行い、各反応で60-85%の州立で最終的に2,5-bis(methylamino)terephthalic acidの合成に成功した。 (2)PCPの合成とサイズの制御 細胞の中に導入するため、水の中でも安定なマイクロサイズの結晶としてUio-66と呼ばれるZr金属イオンで作られるPCPを今研究に利用する事にした。一般的なUiO-66の合成方法(ZrCl4と配位子をDMFにとかして120℃、24時間加熱)では結晶性が低く、サイズや形が一定でない粉末状態のPCPが得られた。そこでAngew. Chem. Int. Ed. 2009, 48 4739.、Chem. Mater., 2010, 22, 4531.に報告されている配位modulation方法を利用してPCPの合成を行った。酢酸をmodulatorとして使い、modulatorの量と反応溶液の濃度を調節し、一定のサイズや形を持つPCPの合成に成功した。結晶は正八面体の形で反応条件により、50nm~500nmの結晶が得られた。反応溶液の濃度が低くて大量のmodulatorを加えると小さい結晶が得られる結果になった。 (3)ニトロ化反応によるN-Nitrosamineの形成(一酸化窒素の導入) PCPにある配位子のアミンにニトロ化反応によるN-Nitrosamineの導入を行った。PCP結晶を水に拡散させてHCIとNaNO2水溶液を添加し3時間、室温で反応させた。電子顕微鏡とX線粉末回折で反応前後の結晶の形やサイズ、結晶性が変わっていないことを確認した。ニトロ基は赤外分光法測定で確認できた。ニトロ化反応後、2194.6cm-1でNNOのストレッチとみられるピークが現れてN-Nitrosamineが形成されたと考えられる。反応効率を確認するためにPCPを分解して配位子のNMR測定を行った。uio-66は非常に安定なPCPであるため、HFにPCPを溶かして分解したが、強酸の条件であるため、配位子も分解されてしまった。そのため反応効率の確認はまだ出来ていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度では有機配位子の合成と多孔性金属錯体の合成を行い、その構造解析と一酸化窒素の放出の評価を行う予定であった。一酸化窒素放出の定量化はまだ行われていないが、平成25年度の計画であった結晶のサイズ制御は行われており、細胞内に導入できるように100nm以下の結晶の合成に成功したことで順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は多孔性金属錯体の結晶を細胞の中に取り込ませて細胞内で一酸化窒素放出実験を行う計画である。細胞培養液に錯体の結晶を入れておくことで細胞内に導入できると思っているが、もし導入できない場合はmicro-injectionで錯体を細胞に入れる計画である。もう一つの問題点は錯体の毒性であるが、金属酸化物ナノ粒子のように表面をポリマーでコーティングして毒性を減らせると考えている。
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Research Products
(4 results)