2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01650
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾崎 順一 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 冷却原子系 / 非平衡量子系 / 密度行列繰り込み群 |
Research Abstract |
近年の量子エレクトロニクス技術の発展により、通常の固体物理では実現が難しかった理想的な孤立量子系である、冷却原子系のダイナミクスの実験が可能になった。そして実験・理論の双方から冷却原子系の量子クエンチ(平衡状態にあった系のハミルトニアンを瞬間的に変え、その後の時間発展を追う)の研究が進み、量子非平衡系が注目を集めている。 そこで、本研究では冷却原子系の非平衡ダイナミクスの、計算機によるシミュレーションを行い、それらの結果をふまえて、非平衡系での非自明な量子効果の解明を目的とした。その際、量子論特有の、冷却原子系の緩和、衝突、混合などの非平衡統計力学的な性質に着目し、その結果を古典力学と対比させるという手法を用いた。これによって最終的には量子論に新しい近似の見方を与えることができると考えられる。本研究では、1次元量子系において量子効果を全て含み、高い数値精度を得ることのできる、時間依存DMRGという手法を用い、恣意的な近似を入れることなく冷却原子系の時間発展を計算した。 当該年度においては、1次元冷却原子系の衝突ダイナミクスの研究と、1次元冷却原子系の引きずりとエネルギー励起の研究を行った。前者は高次元系においては既に実験的に実現しており、また後者は、冷却原子実験技術のさらなる発展により実験で実現できると考えられる。 これらの系は単純でありながら、粒子の統計性や不確定性によって強い量子効果があると考えられる。これらをシミュレートするにあたり、部分的に経費で購入したワークステーションも用いられた。そしてその数値的な結果を理論的に解釈し、新たな理論を得ることが出来た。最終的に、前者の結果は3度の国際会議で発表し、査読つき論文として出版された。また、後者は2度の日本物理学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は1頂調に進展した。理由としては申請した金額と同金額の予算を頂くことができ、物品の購入、国内会議や国際会議における発表も滞りなく行えたことも大きいと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は順調であり、今後も研究計画どおりに進める予定である。当初の予定より1年早くワークステーションを購入できたため、それによって研究がさらに加速できると考えている。 さらに当該年度における、1次元冷却原子系の引きずりとエネルギー励起の研究からさらに知見が得られる可能性が高いため、この研究テーマを次の年度初めに少し継続する予定である。
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