2012 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の卵黄蛋白・脂質蓄積に関与するリポ蛋白質受容体アダプター蛋白に関する研究
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12J01961
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水田 紘子 北海道大学, 大学院・水産科学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ビテロジェニン受容体 / ARH / 卵黄形成 / 魚類繁殖生理 / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
種苗生産技術の確立は魚類の増養殖事業の推進に必要不可欠であり、効率的で安定した種苗生産を行うためには、良質な卵や健全な稚仔魚を計画的に且つ安定して供給できることが重要である。そのためには、魚類の卵形成機構を理解し、それを人為的にコントロールできることが必要とされる。しかしながら魚類の卵形成機構には未知な点が多く、特に卵質を左右する因子については未だ殆ど解明されていない。 魚類を含む卵生脊椎動物において、性成熟期に入った雌は卵母細胞内への卵黄蓄積を開始する。卵黄の前駆物質はビテロジェニン(Vg)と呼ばれる肝臓由来の血清蛋白質であり、血流を介して卵巣に到達し、卵母細胞膜上に存在する受容体(Vg受容体:VgR)に結合した後、エンドサイトーシスにより卵母細胞内に取り込まれる。取り込まれたVtgは限定的な分解を受けた後、卵内に卵黄として蓄積され、胚や稚仔魚の発生・成長に利用される。 この様に、魚卵を構成する卵黄は、VgRを介したVgのエンドサイトーシスによりその蓄積量や組成が制御・決定され、最終的に卵の成長速度や卵質を決定する一因となると考えられる。しかしながら、魚類において同エンドサイトーシス機構に関する知見は少なく、それ故、卵黄の蓄積過程を完全に制御するには至っていない。そこで本研究では、同過程を制御する因子の候補として、リポ蛋白質受容体のアダプター蛋白である常染色体劣性高コレステロール血症原因蛋白(ARH)を想定し、その遺伝子転写産物(arh)および翻訳産物(ARH)の発現動態および生化学的性状を、サケ科魚類を主要なモデルとして明らかにすることを目的とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では既に、1)arhのcDNAクローニング、2)ARH組み換え蛋白質の作製、および、3)これを抗原とした抗ARH抗体の作製、4)リアルタイム定量PCR法を用いたarh発現動態の解析、5)In situハイブリダイゼーション法を用いたarhの卵巣における発現局在解析を終えている。これは年次計画における一年目の予定をほぼ終えていると言え、従って、おおむね順調に進行していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、a-ARHを用いた免疫生化学的手法により卵巣中にARHを検出すると共にその卵巣発達に伴う局在変化を観察する予定である。しかしながら、これまでの結果を見る限り、arhが卵黄形成を制御している可能性は低い。そこで、新たな制御因子の候補として、リポ蛋白質受容体が正しい立体構造をとる際に重要な働きをする受容体関連蛋白質(RAP)に着目し、その解析を行う。
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Research Products
(3 results)