2012 Fiscal Year Annual Research Report
Biallelic mutagenesis in human iPS cells
Project/Area Number |
12J01979
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
シュ シンヤ 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 染色体分配 / コンデンシン / non-SMCサブユニット / 温度感受性 / 薬剤感受性 / 変異体 |
Research Abstract |
約2万個の遺伝子が含まれるヒトゲノムの解析には、遺伝子ターゲティング法が有効である。しかし、ヒト染色体は2倍体であるため、ゲノム上の遺伝子の役割を理解するためには両方の対立遺伝子を改変しなければならず、新たな技術が求められている。これまでに本研究では、ヒトブルーム遺伝子(BLM)の改変を通じて両対立遺伝子に変異を導入する技術の開発を試みてきたが、この遺伝子以外にも主に染色体分配に必要な遺伝子の改変も目標としている。そして、ヒトiPS細胞における多能性と分化に関連する遺伝子の理解へと応用したいと考えている。 平成24年度は、ヒトiPS細胞のモデル系として分裂酵母を用い、染色体分配に必要なコンデンシン複合体の解析を行った。コンデンシンは大腸菌からヒトまで高度に保存され、M期の染色体凝縮と分配に必須であり、近年では遺伝子発現制御やDNA損傷修復への役割も示唆されている。具体的な結果を以下に示す。 1、コンデンシンの制御サブユニットであるnon・SMCタンパク質をコードする遺伝子の温度感受性、薬剤感受性変異体の取得を行った。 2、3つのnon-SMC遺伝子すべての変異体候補株を各々15~30株取得できた。 3、各変異体の表現型は主に染色体分配異常を示し、進化的に保存されたアミノ酸残基の変異も多数同定できた。 これまで分裂酵母で同定されたコンデンシン制御サブユニットの変異体は1つのみであり、遺伝資源の不足から機能の理解が十分に進んでいなかった。平成24年度の結果は、染色体分配に不可欠なコンデンシン複合体の機能を知る上で大変有望な遺伝資源を取得したと言える。また、iPS細胞での両対立遺伝子の改変に向けても有益な基礎データになると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、温度感受性や薬剤感受性(またはその両方)を示すコンデンシン制御サブユニットの変異体取得に成功しているため。また、これらはコンデンシンの染色体分配における役割を研究するのに役立つと考えているため。
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Strategy for Future Research Activity |
PCR法によるランダム変異導入を用いて得られた変異体の表現型が、本当にコンデンシン遺伝子の変異に由来するのか否かを確かめる。そのため、変異部位を導入したコンデンシン遺伝子断片をまずプラスミド上ヘクローニングする。 その後、野生型分裂酵母株へ再導入し、染色体分配異常などの変異体と同一の表現型が見られることを確認する。
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