2012 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚免疫と全身免疫のクロストークの可能性の検証とその役割
Project/Area Number |
12J02006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中溝 聡 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 皮膚 |
Research Abstract |
従来の皮膚免疫の考え方は、「抗原再曝露時には、皮膚は免疫反応の最終現場であり、皮膚に集積したT細胞は皮膚で役割を果たした後apoptosisを起こし終焉する」という一方向ベクトルに留まるものであった。しかしながら、光転換により皮膚構成細胞を赤色に蛍光標識できるカエデマウスを応用し、制御性T細胞が皮膚からリンパ節へ移動し、免疫炎症の火消し薬として作用することを申請者が所属する研究室より発表した(Tomura et al. J CIin Invest. 2010)。 そこで申請者は、既成概念にとらわれずに、「リンパ球は、リンパ節のみならず皮膚でも分化成熟し、皮膚からリンパ節へ再循環し、全身免疫に影響を及ぼす」という新規概念の着想に至った。 ○Kaedeマウスを用いた皮膚からリンパ節への細胞移動の検討 、従来皮膚からリンパ節へ移動可能な細胞は、樹状細胞だけだと思われてきた。しかし、上記の通り制御性T細胞が皮膚からリンパ節へ移動することが報告されている。そこで申請者は、光転換により皮膚の細胞を赤く標識することができるカエデマウスを用いて、皮膚からリンパ節への細胞移動を網羅的に解析した。 その結果、定状状態で皮膚からリンパ節へ移動する細胞の7割は樹状細胞であった。しかし驚くべきことに、CD4陽性T細胞、制御性T細胞、γδT細胞などのリンパ球も皮膚からリンパ節へ移動していることを見出した。次に2,4-Dinitronuorobenzeneを用いて皮膚炎をおこし、皮膚からリンパ節への細胞の移動が変化するか検討した。その結果、皮膚からリンパ節へ移動した細胞の多くをCD4陽性T細胞、制御性T細胞などが占めるようになり、樹状細胞は3割程度に減少した。つまり、皮膚が炎症などにより変化することにより、皮膚からリンパ節へ移動する細胞も変化することを見出した。これは、皮膚の状態が全身免疫に影響を与える可能性を強く示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
皮膚のさまざまな免疫担当細胞がリンパ節へ遊走していること、また抗原塗布により移動細胞が変化することを見出したが、未だその詳しいメカニズムにせまれていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
百日咳毒素や各種ケモカインの阻害薬、中和抗体を用いて、それぞれの免疫担当細胞がリンパ節へ移動するメカニズムを明らかにする。また、二光子励起顕微鏡で観察しながら抗原塗布をすることにより、移動する細胞のライブイメージングを行う。
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Research Products
(3 results)