2012 Fiscal Year Annual Research Report
博物館資料と近代物産誌をつなぐ飛騨民俗データベースの構築と活用
Project/Area Number |
12J02008
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松森 智彦 同志社大学, 文化情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | データベース / 博物館情報学 / 民具資料 / 飛騨 / 博物館学 / 民俗学 |
Research Abstract |
本研究では岐阜県飛騨市北部に位置する民俗博物館の民具資料を対象に、民具情報データベースを構築し、研究利用および博物館活用を行うことを目的としている。本年度は、飛騨みやがわ考古民俗館の民具台帳データの整理作業を行い、民具情報データベースの構築を進めた。7月には、河合村民俗館の民具資料の実見を行い、民具台帳の写真を撮影しデータの入力を行った。本研究では民具情報データベースの他に『斐太後風土記』データベースの構築を進めている。表記ゆれへの対応などデータベースの精度向上に加え、活字化に伴う誤記への対応として原本調査を行った。正しく構築したデータベースは永続的な研究資源となるため、本年度の作業が順調に進行したのは大きな成果である。 本年度は民具資料の名称把握、使われ方の理解、暮らしや地形また災害についての情報収集を目的とした、フィールドワークを重点的に行なった。6月には白川郷において民具資料調査を行い、更に小白川口の踏査を行った。小白川口は、庄川流域での越中と飛騨の国境で、籠の渡が架かっていた難所として知られている。また後日、富山大学の社会言語学の調査に随伴し、小白川集落の古老より戦前の交通について聞き取りを行うことができた。また7月には砺波散村地域研究所、となみ散居村ミュージアムの共催する庄川流域見学会に参加し、多分野の現地研究者の解説から多く学んだ。これら調査により得られた知見は次年度の研究の深化のために重要である。 本研究ではデータベースを用いた研究を、博物館の研究・展示・教育のサイクルに還元することを目指している。世界的な博物館学の先進例として、ロンドンの博物館調査を実施した。報告者は2010年にもロンドン市内に一週間滞在し、博物館調査を行なっている。今回もロンドン市内に限り、7日間の博物館調査を行った。博物館学の世界的動向について最新の知見が得られ、本研究の進行のために意義があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
民具情報データベースについては、新たに資料館に赴き資料調査を行うなど構築は順調に進行している。4次の野外調査も実施し、地形、村落立地、民俗、暮らしについて調査を行なっている。『斐太後風土記』データベースについては原本調査を行い、精度を高めている。研究はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進に際し、特に変更点はない。民具情報データベースの構築は順調に進行している。資料館に収蔵されている民具資料には、地域により種類の偏りがある。各資料館の収蔵品の品目は均一ではない。しかし、理想論ではなく、現存する資料を活用していく事が肝要である。このまま民具情報データベースの構築を継続し、博物館ごとの民具資料の偏りについては、研究活用の際に考慮を行う。また特定の個人より資料の一括寄贈が複数ある事例もみられる。これも不均質として排除するのではなく、資料の共起として積極的に活用する。次年度は神通川流域の野外調査を進め、研究成果の学会発表また論文執筆を積極的に行う。
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Research Products
(3 results)