2013 Fiscal Year Annual Research Report
次世代ガンマ線望遠鏡で解き明かすかに星雲からのガンマ線フレア
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12J02058
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
尾崎 圭太 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ガンマ線天文学 / 原子核乾板 / エマルション / 気球実験 / 宇宙線 |
Research Abstract |
エマルション望遠鏡による宇宙ガンマ線観測計画GRAINEを推進している。エマルション望遠鏡はガンマ線に対して優れた角度分解能が実現でき、また直線偏光に対する感度を持つ。現在は高輝度ガンマ線天体であるVela pulsarの観測を目指す次期気球実験を2014年11月にオーストラリア、アリススプリングスで実施するべく準備を進めている。そこではまたvela pulsarの偏光観測のためのデータ取得を開始する予定である。その後望遠鏡の口径面積の拡大を測り、高分解能観測や偏光観測などの科学観測を目指す。 平成25年度では以下にあげる研究項目に取り組んだ。 ○次の気球実験で使用する新型高感度フィルムの飛跡検出効率及びフェーディング特性を評価した。新型フィルムの検出効率は従来使用していたOPERAフイルムと比べて優れていることを確認した。一方フェーディング特性は現状のままでは実験に耐えうる性能がないことを明らかにし、十分な乾燥処理の後に密封パックをすることが重要であることを見出した。 ○気球高度で望遠鏡の天球に対する姿勢をモニターするデイタイムスターカメラの開発を行った。先代機と比べて性能が向上したカメラを選定し、地上試験で実機の評価を行った。また、オンラインでの画像データ圧縮処理を開発し、実用的であることを確認した。 ○NewSUBARUにおける直線偏光ガンマ線ビーム照射実験を自ら計画、実験を実施し70MeV領域ガンマ線の角度分解能及びエネルギー分解能の評価を新型フィルムで初めて実測した。またGeant4によるモンテカルロシミュレーションとの比較を行い実験データとよく一致することを確認した。今後偏光検出能の評価を行う予定である。 これらの研究開発によりGRAINEの次期気球実験の実現に向けて着々と前進している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次期気球実験の実施がJAXA国際気球実験に採択されており、放球機会は確保されている。その実現に向けて新型フィルムの基礎特性を調べることができた。また姿勢モニターの開発にも成功している。さらには、新型フィルムのガンマ線角度分解能、偏光感度の評価を行っており将来的な科学的成果の開拓に向けて準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年11月の気球実験を成功させるべく準備を進める。その後はフライトデータ解析を進める。そしてエマルション望遠鏡のイールド拡大に向けた新型フィルムの量産体制の確立、次の放球機会の確保に向けて全力を尽くす。
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Research Products
(8 results)