2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02085
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
張 紅娜 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 弾性乱流 / 粘弾性流体 / 高分子構造 / エネルギーの転送 / 粘性散逸 / 弾性吸収 / フープ応力 / 混合強化 |
Research Abstract |
弾性乱流の特徴と物理機構を把握するために、直接数値計算(DNS)を用いて、3次元平行半板流路内や曲がり管内における弾性乱流の流動場と粘弾性流体内にある高分子構造の弾性応力の分布のデータベースを構築しました。このデータベースを基に、弾性乱流の流動特性と物理機構に関して以下分析を行いました。 1. 弾性乱流の流動場と高分子構造間のエネルギー輸送 弾性乱流が発生する時、弾性乱流の流動場と高分子構造の間にエネルギー輸送について、平均特性および変動特性について検討しました。平均特性から、付加力の仕事量は粘性散逸と弾性吸収にバランスすることを見出し、この過程において高分子構造は主流からエネルギーを吸収することを示しました。他方、変動特性から、通常の慣性乱流と異なり、高分子構造はそれ自身からエネルギーを解放し、粘性散逸とバランスして乱流状態を維持することを見出しました。 また、上記で構築した曲がり管内における弾性乱流のデータベースを基に、高分子構造は主流場からエネルギーを吸収し、それ自身の構造緩和によって、壁面近傍の流れ場ヘエネルギーを注入することを見出しました。 2. 直管内における弾性乱流の生成 直管内における弾性乱流の発生を抑制するメカニズムにりいて、①で得られた曲がり管内の弾性乱流特性と比較検討しました。平らな壁面は、壁面近傍の流線の曲がりをまっすぐにし、'フープ応力'を抑制することで、弾性不安定性と弾性乱流の発生を抑制することを見出しました。このことから、直管内に弾性乱流を発生・維持させるためのマルチレーヤー・モデルを提案しました。 3. 弾性乱流の混合促進の物理機構 弾性乱流中で混合が発生する時、対流と拡散の貢献を比較して、弾性乱流による混合促進のメカニズムを検討しました。この過程では、粘性流体の層流と比べて、弾性乱流では対流効果が支配的であり、流体混合効率の向上が得られることを明らかにしました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで構築した数値データ汐べースを基に、弾性乱流が発生する時、流動場および高分子構造の特徴とそれらの相互作用について基本的な特性を理解した。これにより、将来、弾性乱流の物理機構やモデリングをさらに高度化することを可能とした。また、本流れ場の実験装置は既に準備したので、引き続いて計測を実施する。以上の事から、本計画はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
①数値データベースを基にさらに検討老継続 : 弾性乱流が発生する時、流場と高分子構造の間の局所統計関係を構築する。例えば、局所速度勾配と高分子構造の相関関数の取得など。また、初期の擾乱場の影響を示すために、擾乱場の振幅や特性波数を変えて、数値計算を行う。②実験計測 : 曲がり管部における圧力損失と流速を計測し、弾性乱流の発達過程における流動抵抗および速度分布を取得する。また、直管部における弾性乱流が発生の有無を確認する。③数値計算と実験結果を取り纏める : 数値計算と実験結果を整理し、これらの結果に基づいて将来の弾性乱流モデルと混合促進技術の実用化の方策を提案する。
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