2012 Fiscal Year Annual Research Report
低極性有機溶媒中で機能する触媒担持刺激応答性高分子の創製
Project/Area Number |
12J02093
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
雨森 翔悟 北海道大学, 大学院・総合化学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 温度応答性 / 下限臨界共溶温度 / 上限臨界共溶温度 / 刺激応答性 / 超分子 |
Research Abstract |
本研究の目的はトルエンやアセトン、ジクロロエタン等の有機溶媒中で機能する触媒担持刺激応答性高分子の開発である。これは温度などの外部環境の変化に応答して高分子の溶解性が劇的に変化する刺激応答性を利用し、触媒の活性の制御、触媒の簡便な回収を有機溶媒中で行うものである。これまでの刺激応答性、特に温度に応答する温度応答陸は水溶液中での議論に限られてきた。そこで上記の目的を達成するためには、有機溶媒中における温度応答性高分子の開発、溶解挙動について評価する必要がある。本研究室ではこれまでに、尿素官能基と親油性イオン対を有する高分子が有機溶媒中で温度応答性を示すことを報告してきた。この高分子を触媒反応に展開するためにはまず、様々な低分子が存在する環境下における高分子の溶解挙動について評価しなければならない。これは触媒反応では様々な官能基を有する低分子、金属触媒などが系中に存在するため、高分子の溶解挙動、つまり温度応答性が変化すると考えられるためである。そこで本年度は尿素官能基を有する高分子が、様々な低分子存在下どのような溶解性を示すかについて詳細な評価を行った。結果として、有機溶媒中において尿素官能基を有する高分子は水酸基やカルボン酸基を有する低分子が存在することでその溶解性が劇的に向上することが判明した。さらに、それらの低分子存在下では温度応答性が発現することを見出した。つまり、親油性イオン対を高分子鎖に導入せずとも低分子を系中に存在させることで有機溶媒中容易に温度応答性が発現可能であることが判明した。 本結果は有機溶媒中で機能する温度応答性高分子の新しい分子設計指針を示すものである。この得られた高分子の溶解性に関する知見を利用し、来年度は触媒系への応用を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機溶媒中、低分子存在下の高分子の溶解性について新たな知見が得られた。様々な官能基を有する低分子が存在する触媒系における高分子の溶解性と温度応答性を予測する上で重要な情報が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
尿素官能基を有する高分子の有機溶媒中低分子存在下における溶解挙動の知見が得られたため、今後は予定通り実際に触媒部位の高分子鎖への導入を行い、触媒系への応用を検討する。触媒反応としては一般的に有機溶媒中で反応が行われるタングステンと過酸化水素を用いた酸化等を検討している。
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Research Products
(2 results)