2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02096
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
谷 沙織 神戸大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 筋形成 / microRNA / メダカ / 機能性小分子RNA / 脊椎動物 |
Research Abstract |
本研究の目的はmicroRNAが、動物の進化過程に伴う筋肉の多様化に重要な役割を果たしたという仮説を検証することである。miR-1,206,133は脊椎動物で広く保存されており、筋肉特異的に働くmiRNAとして報告されている。私たちのこれまでの研究により、これらのmiRNAのうち、miR-206が脊椎動物の初期進化においてmiR-1から生み出された新たなmiRNAであること、さらにこのmiR-206がメダカの対鰭(四肢に相同な器官)の筋肉形成において重要な役割を担うことを示す結果を得ていた。miR-1とmiR-206には胸鰭の骨格筋細胞での発現の有無に違いが見られたことから、それぞれが異なる転写制御を受けることで多様な発現様式を生み出していると言える。 平成25年度は、特に相同なmiRNAの種問比較解析により ; 脊索動物から脊椎動物への進化過程におけるmiR-206の獲得と機能の変遷について検証した。尾索動物であるホヤ、脊椎動物の初期に分岐したヤツメウナギ、軟骨魚類に属するサメを用いて得られた結果をメダカのものと比較し、詳細なmiRNAの変遷の知見を得ることができた。ホヤのゲノム上では各1つであるmiR-1とmiR-133遺伝子を、ヤツメウナギとサメのゲノム上では複数個同定した。一方、これらの動物種においてmiR-206遺伝子は見つからなかった。ホヤとサメにおいては、メダカ同様、miR-1とmiR-133が遺伝子対を形成してゲノム内に存在していることも示された。さらに様々な組織や胚におけるmiR-1,206,133の発現解析から、これらの動物でもmiR-1,133は骨格筋や心筋で発現する解肉特異的なmiRNAであることを明らかにした。 以上の結果をもとに考察すると、miR-206は脊椎動物の進化過程において、軟骨魚類が分岐した後にmiR-1から生み出されたmiRNAであると推察される。さらに、miR-206は対鰭や四肢の筋肉、とりわけ移動性筋芽細胞と呼ばれる特殊な分化経路を経る筋芽細胞によって構成されている四肢・対鰭の筋分化と深い関連があると示唆される。miR-206の獲得はこの移動性筋芽細胞の複雑な分化制御に大きな役割を果たしている可能性が高いと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(3 results)