2012 Fiscal Year Annual Research Report
長波長非線形重力現象から探る初期宇宙物理の理論的観測的研究
Project/Area Number |
12J02236
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高水 裕一 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | インフレーション / 宇宙論的摂動論 / Non-Gaussianity / 初期密度揺らぎ |
Research Abstract |
インフラトンの正体を解明する上で、重要となる長波長非線形揺らぎの進化について一般的な定式化を試みていた。特に単数場の定式化を複数場に拡張する研究が進展した。これにより従来知られていた長波長展開最低次を超えた展開高次効果を一般のインフレーションモデルにおいて計算する手法が確立したといえる。揺らぎの進化を解析するには時間座標の選び方が鍵となることが分かった。適切に解きやすいゲージで解を構成し、それを座標変換して最終時刻でエネルギー一定となるような観測量と比較できるゲージへ移し解析することで定式化を確立した。定式化で重要となっているのが、ゲージ間同士を結び付けるゲージ変換則であるが、今のような完全に非線形のオーダーで明瞭な式に書き下せるかは自明ではない。我々は時間座標としてe-folding数を用いることで、この完全非線形のオーダーまで含む高々変数の二次までの変換式にまとまることを明らかにした。 またこの非線形揺らぎの解析は最も一般的な運動項を持つ単数場への拡張も可能であることが分かった。ガリレオンと呼ばれている時間に関して二回微分までを含んだ最も一般的な運動項をもった理論が知られており、これがインフレーションを引き起こす場合、そこから予言される密度揺らぎの非線形成長を解析する上で本定式化が重要になる。最終結果は一本のシンプルな時間微分の式にまとめられ、標準的な運動項をもつ場合に我々が以前求めた式と同値な形式に帰着できることを明らかにした。これら一連の非線形揺らぎの定式化の研究に加えて、現象論的な理論モデル構築の研究も進展があった。インフレーション中にインフラトンよりも重い場が存在すると仮定すると、運動項の結合を通して自然と観測で知られているようなCMBのfeatureを説明できるモデルである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の目的のうち、非線形摂動論の理論的定式化が大きく前進し、計画していた複数場の拡張が完成した上に、単数場で運動項が最も一般的な場合にも拡張することができ、当初の計画以上に進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現象モデルを中心に、定式化を用いて実際に応用し定量化する研究に重点をおいて計画を遂行していく予定である。
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Research Products
(5 results)