2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02403
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
茶谷 悠平 京都産業大学, 総合生命科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | リボソーム / ポリペプチジルtRNA / 翻訳伸長 / 翻訳アレスト / 翻訳制御 / タンパク質 / タンパク質フォールディング |
Research Abstract |
近年、タンパク質フォールディングや、品質管理機構など様々な研究分野からその重要性が明らかにされつつあるタンパク質の翻訳途上鎖の動態の全容を明らかにするため、大腸菌翻訳途上鎖の網羅的解析を行った。大腸菌1042遺伝子にっいて、再構成無細胞翻訳系PUREsystem、および細胞内での翻訳伸長パターンを記述し、翻訳アレストについて、発生箇所、強度、PTC活性の状態などについて情報を取得した。全体で4002箇所において翻訳の停滞を示すシグナルが観察され、細胞内だけで生じるものがうち536箇所、PUREsystemのみで観察されるものが1370箇所、両条件で再現されたものは2096箇所であった。アレストが全く観察されない遺伝子は62遺伝子のみであった。検出されたシグナルが実際に翻訳アレストによって生じたものかを検討するため、secA遺伝子のN末端に見られるシグナルに関して詳細に解析した。結果、Glu42, Leu43, Gly45がP-siteに位置した時に翻訳が停滞していることがわかった。その他、yaaX, yagNに見られる強固なシグナルについても解析したところ、それぞれプロリン連続配列とプロリンに富む部位で翻訳が停滞していた。yaaXのシグナルは近年報告されたEF-Pによる翻訳停滞解除機構により解消された。一方yagNのシグナルはEF-Pによっては解消されなかった。このことから、yagNはプロリン連続配列とは異なるメカニズムで翻訳アレストを起こしているものと考えられる。以上の結果から、今回見出された4002のシグナルは、翻訳の停滞によって生じた可能性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
翻訳途上鎖を解析してデータベース化を行い、個々の事例に関して翻訳アレストの発生を確認することで、翻訳アレストが一般的な生理現象であることは解明できた。しかし、今年度目標としていた、統計解析によって有意な情報を引き出すには至っていない。また、ribosome profiling法との統合も、現状は満足のできるレベルでは行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究をより完成形に近づけるため、①peptidyl-tRNAの質量分析法の開発、②統計手法の本格導入、③ribosome profiling専門家との共同研究を推進する。①に関しては一年度目に開発したpeptidyl-tRNA濃縮法と今年度実施した標的タンパク質由来のpeptidyl-tRNA濃縮法を組み合わせ、tRNAが連結した特定タンパクのpeptidyl-tRNA分子を精製し、質量分析を行う。②に関しては、移動先である東京工業大学田口英樹教授、丹羽達也助教の協力、指導のもと推進する。③に関しては慶応大学中東憲治准教授との共同研究を今後行っていく予定である。
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Research Products
(4 results)