2013 Fiscal Year Annual Research Report
多成分バクテリオシンを介した乳酸菌の生き残り戦略の解明とその利用に関する研究
Project/Area Number |
12J02491
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石橋 直樹 九州大学, 大学院農学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 乳酸菌 / バクテリオシン / エンテロシン / トランスボーター |
Research Abstract |
多成分のバクテリオシンを同時に生産する珍しい乳酸菌が見出されており、それぞれの抗菌スペクトルや諸特性が多様性に富むことから、それらバクテリオシンあるいは乳酸菌自体を利用した、より高度な微生物制御の実現が期待されている。本研究では、多成分バクテリオシン生産乳酸菌の生き残り戦略の解明を通して、高度な微生物制御を実現する足掛かりとするだけでなく、微生物生態学への新たな知見を提供することを目的としている。本年度は、多成分バクテリオシン生産乳酸菌のモデル生物であるEnterococcus faecium NKR-5-3(エンテロシンンNKR-5-3A、B、C、D、Z (Ent53A、B、C、D、Z)生産菌)を用いて、1.バクテリオシンの生産制御機構の解明、2.マルチプルトランスポーターの分泌能解析、および3.多成分バクテリオシン生産乳酸菌の生き残り戦略の解明を試みた。1.では、バクテリオシン生合成遺伝子群の転写解析を行ったところ、培養条件により変化するバクテリオシンの生産性は、転写レベルで制御されていた。特に、誘導ペプチド(Ent53D)による転写誘導が本株のバクテリオシン生産に必須であることが明らかとなった。2,では、バクテリオシン前駆体が有するリーダーペプチドに注目し、Ent53A、C、D、Zの分泌を担う本株のトランスポーター(Ent53T)の分泌能を解析した。結果として、Ent53Tはリーダーペプチドの配列や長さ、およびバクテリオシンの構造に対して非常に寛容な基質認識機構を有することが明らかとなった。よって、この特性により本株は構造の異なる種々のバクテリオシンを分泌することが可能であると推察された。3,では、本株と他の多成分バクテリオシン生産菌(エンテロシンA、B生産菌)であるEnterococctts faecium JCM 5804^T (5084株)を用いて、交差耐性能試験や交差バクテリオシン生産誘導試験を試みた。その結果、両株とも交差耐性能を示さず、5804株のバクテリオシン生産はEnt53Dにより誘導されなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
|
Research Products
(13 results)