2012 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナの生殖器官形成における輸送小胞構成因子の機能解析
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12J02609
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
田中 優史 島根大学, 研究機構・総合科学研究支援センター・遺伝子機能解析部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | シロイヌナズナ / 細胞内小胞輸送 / 形態形成 |
Research Abstract |
本年度ではマイクロアレイ解析に適した高品質のRNAを野生株の葉と花序、そしてATSEC23FとATSEC23Gの二重遺伝子破壊株(atsec23fg)の葉と形態異常を示す花序から抽出し、マイクロアレイにより遺伝子の発現量を網羅的に示すデーターを取得した。ATSEC23FとATSEC23GはシロイヌナズナにおけるSec23ホモログであり、このSec23はCOPII小胞と呼ばれる輸送小胞を形成することで細胞内でのタンパク質輸送に関与している。atsec23fgは茎の異常な伸長と花の形態異常を示した。花茎の伸張は植物ホルモンによって制御されており、atsec23fgではこれらSec23ホモログの遺伝子破壊によってタンパク質輸送が抑制され、何らかの植物ホルモンの受容体や輸送体の細胞膜への正常な局在ができなくなることで上記のような異常を現すと考えられた。植物ホルモンは細胞の受容体と結合することによって、細胞内で様々な遺伝子の発現を誘導する。したがって、花茎の異常な伸張や形態異常における遺伝子の網羅的な発現情報を得ることは、COPII小胞による物質輸送と植物生殖器官発達との関係を解明する重要な手掛かりになる。 また本年度では本研究の目的であるCOPII小胞による物質輸送と植物生殖器官発達との関係を解明するため、Sec23とともに複合体を成しCOPII小胞の形成に関わるSec24のホモログについての解析も進めた。それらホモログのうちAtSec24Bノックアウト株において生殖細胞である花粉から発芽する花粉管の発芽率が43%減少することを見出した。さらに、AtSec24Cノックダウン株と交配することによつて花粉と雌性の生殖細胞である胚嚢の発達が途中で停止することが見いだされた。これらのことから、それらのSec24ホモログが司る物質輸送が生殖細胞の正常な発達に不可欠な役割を果たすことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度ではデーターの解析まで至らなかったが、Sec23のパートナーであるSec24のホモログの解析において成果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、マイクロアレイ解析によつて得られた候補遺伝子の解析のために、候補遺伝子を導入した発現クローンの構築と野生株やatsec23fgへの発現クローンの形質転換を行わなければならい。特に、atsec23fgはすでにカナマイシン耐性遺伝子が組み込まれているため、発現クローンの耐性マーカーの選択には注意が必要である。そこで、クローニングが簡便でかつ既存の耐性マーカーとは異なるマーカーを持ったベクターの開発・利用を検討する。
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Research Products
(2 results)