2012 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素で加圧した有機膨張液相を利用する新規多相系反応場の開発と応用
Project/Area Number |
12J02667
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
芳田 嘉志 北海道大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 二酸化炭素 / 水 / CO吸着 / 多相系反応 / 水素化 |
Research Abstract |
本研究ではCO_2溶解膨張液相(CXL)におけるCO_2分子と反応基質との相互作用の解明を研究目的としている。本年度は高圧その場FTIR測定を用いてCO_2溶解に伴う各官能基の反応性変化を観察し,ニトロ基・ニトリル基の反応性低下,およびカルボニル基の反応性増加を確認した。これは加圧CO_2を利用した生成物選択性の制御において重要な知見であり,CO_2分子の反応基質に対する直接的な相互作用を示す。またCXLに水を加えた新規多相系反応場においては,少量のベンゾニトリルが溶解した水相におけるCO_2分子とベンゾニトリルとの相互作用を観察し,水相でも有機相の場合と同様にニトリル基の反応性が低下すること,およびCO_2圧力と反応性低下の相関が二つの相で同程度であることを明らかにした。これによりCXLに水を加えた反応場では導入された反応基質に対して一様にCO_2分子との相互作用が発現していることがわかった。 またCXL反応場を用いた水素還元反応では逆水性ガスシフト反応によるCO生成およびその触媒表面への吸着が観察されることから,反応条件において生成するCOと担持金属の表面状態,CO吸着サイトの特定,水分子との競争吸着をその場FTIRを用いて詳細に検討した。Pt, Pd, Rh, RuをAl2O3に担持した触媒を用いたところ,全ての触媒においてCO生成を確認し,さらに反応場に水が共存することにより高配位な貴金属原子へのCO吸着が選択的に抑制されることを見出した。これらの吸着COはニトロ・ニトリル芳香族化合物の水素化反応においては触媒活性に影響を与えないが,フェノール水素化反応では触媒失活の原因となることがわかった。したがってCXLに水を加えた反応場における水素還元反応では,生成COと水の競争吸着による金属露出表面の状態が反応速度および生成物選択性を制御する重要な因子の一つであることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CO_2加圧に伴う触媒反応への直接的および間接的な効果を明確にできた。本効果は反応基質の官能基によって異なることから本研究で得られた知見は幅広く有機合成反応に利用できると考えられる。現在はCXLに水を加えた反応場における,CO_2加圧に伴う水相のpH変化について検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の大きな変更はなく,概ね当初の計画に基づいて研究を遂行する。またCXL反応場を光反応に利用した研究において新たな知見が得られたため,並行して水の光分解やCO_2の還元反応といった光反応に対する溶解CO_2の化学的機能の解明も検討する。
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Research Products
(10 results)