2012 Fiscal Year Annual Research Report
非極性溶媒中での静電反発を利用した螺旋状親油性高分子電解質の階層的構造制御
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12J02749
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
太田 匡彦 北海道大学, 大学院・総合化学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013-03-31
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Keywords | らせん高分子 / 高分子電解質 / 静電相互作用 / 親油性イオン |
Research Abstract |
申請者は、溶液中で動的ならせん反転現象を示すことが知られているポリ(p-フェニルアセチレン)誘導体に対してクロロホルムなどの非極性溶媒中でも解離可能な親油性イオンを修飾したらせん状親油性高分子電解質の調製と分子集合体形成に伴う階層的構造制御を目指し研究を行なっている。本年度は、らせん状親油性高分子電解質の調製と静電反発が非極性溶媒中でのらせん反転現象に及ぼす影響に関して検討を行った。 フェニルアセチレンのパラ位に光学活性を有するL-アラニンと長鎖アルキル基、末端にアジド基を修飾したモノマーL2を合成した。L2を単独もしくはアジド基を持たないL1とランダム共重合することでらせん高分子polyL2もしくはpoly(L1-L2)を調製した。これらに対して親油性イオンをクリック反応によって導入することによって、全てのモノマーユニットにイオン性部位が導入されたpolymL2と5mol%導入されたpoly(L1-mL2)を得た。高分子反応の進行はIRスペクトル測定によりて追跡し、イオン導入量は^1HNMRスペクトルの積分比から見積もった。次に、溶媒の誘電率、共通塩添加、温度といった外的刺激によってイオンの解離度を変化させた場合のらせん構造の転移を円偏光二色性及び紫外可視吸収スペクトルによって主鎖のポリエンの共役長から評価した。その結果、溶媒の極性によって右巻きと左巻きが変化し、特にDMF中においては温度を変化させることによってらせん長を、高分子濃度と添加塩濃度によってらせんの巻方向の割合を可逆的に制御することに成功した。この変化はらせん高分子側鎖のイオン性部位の静電反発によって誘起されたと考えられ、有機溶媒中での静電斥力を制御することによってらせん構造転移を誘起させることに成功した。' 今回申請者が得たらせん状親油性高分子電解質に関する基礎的知見は、本研究課題の最終目標である階層的構造制御を目指す上で極めて重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、1)らせん状親油性高分子電解質の調製と評価、2)両親媒性ジブロックコポリマーの調製と触媒反応場としての自己集合体形成、の二つに区分され初年度では前者の完遂を目指していた。今年度は実際にらせん状親油性高分子電解質の調製に成功し、光学スペクトル測定による評価を行うことができた。物性解析の面で当初計画していた原子間力顕微鏡観察までは踏み込めなかったものの、概ね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りにおおよそ進行しており、今後はまず、今年度遂行出来なかった原子間力顕微鏡観察をらせん状親油性高分子電解質の物性評価の続きとして進める。また、両親媒性ジブロックコポリマーの調製にとりかかり、それを用いた分子集合体評価、さらにカチオン性触媒の担持へと従来示した研究計画通りに遂行する予定である。
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Research Products
(3 results)