2012 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分によるヒト褐色脂肪組織の活性化と抗肥満効果-TRP刺激物質に焦点を当てて
Project/Area Number |
12J02798
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
米代 武司 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 褐色脂肪組織 / 肥満 / エネルギー消費 / TRPチャネル |
Research Abstract |
褐色脂肪はある種の画像診断法(FDG-PET/CT)により評価可能で、寒冷刺激により活性化してエネルギー消費に寄与するが、加齢とともに機能低下して肥満を進展させる。本研究では、ヒト褐色脂肪の機能強化方法を探るとともに、それが肥満の新たな予防法となり得るかどうかを検証した。 【検証1】健康な若年男性12名を対象に、室温17℃にて2時間安静にする寒冷刺激を6週間継続するとFDG-PET/CTで評価した褐色脂肪活性が増加し、同時に体脂肪が減少した。本結果は積極的な介入によりヒト褐色脂肪を増量させた初めての例である。 【検証2】より簡便的な刺激方法を考案するため、温度受容機構であるTRPチャネルを食品成分で刺激で刺激することの効果を検証した。TRPのアゴニストであるカプシノイド9mgを18名の被験者に単回摂取させたところ、褐色脂肪活性依存的にエネルギー消費量が増加した。この結果はAm J Clin Nutrに掲載され、雑誌のホームページに登録者のプレゼンビデオが掲載された。 【検証3】褐色脂肪活性が弱い10名を対象に、カプシノイド9mg/日を6週間摂取する前後で褐色脂肪熱産生活性を測定したところ、これが顕著に上昇した。 【検証4】カプシノイド同様にTRPチャネル刺激活性を有する成分(ショウガ科植物抽出物:GP)について、検証2と同様の検証を行ったところ、GPの単回摂取により褐色脂肪組織での熱産生が亢進することが判明した。この結果は、Br J Nutrに掲載された。 【検証5】検証3及び4の結果を踏まえると、GPの慢性摂取により褐色脂肪を増量できる可能性がある。これについて、現在、検証3と同様のプロトコルで検証を進めている。これまでに予備的知見を得つつあるが、結論を得るには次年度、さらなる実験を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「9.研究実績の概要」に記載した通り、ヒトの褐色脂肪を何らかの介入により増量することに初めて成功した。また、寒冷刺激を肥満対策として普及するのは非現実的であるので、より現実的な方法の探索を開始し、TRPチャネル刺激物質が有効そうである予備的知見を得つつある。被験者の確保、及びFDG-PET/CT検査を依頼している協力機関との連携も円滑である。引き続き、次年度も検証を継続したい。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ研究を遂行する上で問題点は生じていない。計画通りに実験を遂行する上では、被験者の確保、及び協力検査機関との連携が最も重要と思われるので、次年度もこれまで通りこれらを維持して研究を進めたい。
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Research Products
(9 results)