2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02847
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山本 晃平 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 熱伝導 / シミュレーション / 金属・半導体界面 / シリコンナノワイヤー |
Research Abstract |
筆者は当該年度において (1)原子種、原子構造の違いによる量子化熱伝導度遷移温度への影響解明 (2)異種原子界面における熱伝導度計算手法開発 (3)非調和項を含んだ原子問ポテンシャル計算手法開発 を行った。 近年、電子回路は微細化による高性能化を続けて来たが、現在その微細化を妨げている大きな要因のひとつに、回路の発熱問題が挙げられる。この発熱問題に対してはこれまで、熱流体解析を行い放熱に適した構造を探索するという手法が取られてきた。しかし、熱流体解析の基礎である熱伝導方程式の描像はナノ系では完全に破綻している。そこでエレクトロニクスがさらなる発展を遂げ、ナノスケールの回路を構成するためには、ナノスケールにおける回路の熱設計指針作成が急務である。一方現在アカデミックには、ナノスケールの熱伝導において量子性がどのような条件下で、どのように現れるのかは明らかでない。 これまでの理論研究においては、極低温における熱伝導度の量子化現象、またナノワイヤー系における直径、欠陥、温度の効果について一定の理解が得られている。そこで筆者は研究目的として「多種原子系における温度、直径、長さ、欠陥依存性、及び上記4者間の関係を明らかにすること」を目指している。そこで当該年度では特に、(1)原子種がもたらす効果を明らかにし、また(2)あらゆる原子種界面で適用可能な手法を開発することで多種原子系における熱伝導計算の基礎が得られた。また(3)非調和項を含んだ原子問ポテンシャル計算手法を開発することで、長さ効果及び温度効果について議論が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
筆者は計画通り原子種のもたらす効果の一端を明らかにし、国際学会で発表した。また、界面熱伝導については、当初の計画よりも広く、あらゆる原子種で計算可能な手法を開発し、この成果を国内学会で発表した。長さ効果については、筆者は非調和項を含んだ原子間ポテンシャル作成する手法を開発しており、この成果の一部は既に発表済みである。これは長さ効果のみでなく、温度上昇に伴う熱伝導度減少の効果も扱えるため、当初の計画よりもより広い範囲を扱えるため、計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度から継続して、非調和項も含んだ原子間ポテンシャル作成手法開発を行う。この成果として、まずシリコンなどの物質に対し、長さ効果や温度上昇に伴う熱伝導度減少の効果を明らかにする。その後、あらゆる原子に、またあらゆる化合物に対して適用可能な原子問ポテンシャル作成手法を開発する。それによって多種原子系での、長さ効果や温度上昇に伴う熱伝導度減少の効果を明らかにする。最終的には、多種原子系において、温度、直径、長さ、欠陥依存性及び、上記4者間の関係を明らかにし、包括的なナノスケール熱伝導現象の理解を目指す。
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Research Products
(3 results)