2012 Fiscal Year Annual Research Report
疾病診断用アプタマーセンサーの構築に向けたシステム評価法の開発
Project/Area Number |
12J02937
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
野中 芳彦 東京農工大学, 大学院・工学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 血管内皮細胞増殖因子 / アプタマー / バイオセンサー / 加齢黄斑変性症 / 疾病診断 / 悪性腫瘍 / 配列進化 |
Research Abstract |
本年度の研究では、標的分子を高感度に検出するためのバイオセンサーにおけるセンサー素子となるアプタマーの特性改良を目的として、研究者が所属する研究室独自の分子進化手法であるin silico maturation法を用いて血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に結合するアプタマーおよび同分子検出システムの改良を試みた。本研究におけるアプタマーの親配列として、これまでに我々が獲得したVEGF121に結合するアプタマーを用いた。SPR測定による結合能評価と、コンピューター内での配列進化を1セットとした進化のラウンドを3ラウンド行った結果、親配列よりも16倍程度強いVEGF結合能を有するアプタマーを獲得した。また、進化後のアプタマーを二量体化することで二量体アプタマーを設計した。この二量体アプタマーはVEGFに対して非常に強い結合能(解離定数K_d=30pM)を示した。この二量体アプタマーの解離定数は現時点までに報告されているVEGF結合DNAアプタマーの中で最も強い結合能を示す値であり、既に疾病治療薬として実用化されているVEGF結合RNAアプタマーと同程度のものである。このように標的分子に対して強く結合するアプタマーは、バイオセンサーを構築する際の分子認識素子としてのみではなく、医薬品などへの応用が期待される。 また、in silico maturation法による結合能改良の結果得られたアプタマーを用いて、VEGF検出システムの構築を試みた。標的分子検出のための原理として、ELISA法などに広く用いられている手法であるサンドイッチアッセイを用いた。担体上に固定化したアプタマーと酵素標識したアプタマーの2種類のアプタマーを用い、VEGFを金線電極上でサンドイッチした。その後、標識酵素の活性に由来する電子産出を電極上で検出することで、電気化学的にVEGFを検出するシステムを構築した。検討の結果、配列進化後のアプタマーを用いた場合において、進化前のアプタマーを用いた場合と比べて明らかな応答電流値の上昇が確認された。この事から、in silico maturation法によって結合能が改良されたアプタマーを用いてVEGF検出システムを構築することで、高感度なVEGF検出システムが構築できることが示された。
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Research Products
(4 results)