2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J02959
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
守田 玲菜 札幌医科大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 癌幹細胞 / 大腸癌 / 癌ペプチドワクチン |
Research Abstract |
申請者は、大腸がん幹細胞の分子メカニズムを解明する為に、大腸がん幹細胞をSide population(SP)細胞として分離し、SP細胞特異的な分子としてOlfactory receptor,family7,subfamilyC,member 1(OR7C1)を同定した。OR7C1は、メッセンジャーRNA(mRNA)の発現において正常臓器では精巣にのみ発現する分子であり、がん幹細胞特異性が非常に高い分子である。本研究では、OR7C1を標的にした大腸癌幹細胞のペプチドワクチン療法の開発を目的とする。 新たに入手したOR7C1特異的ポリクローナル抗体により、これまで困難であった大腸がん幹細胞でのOR7C1タンパク発現を確認・証明できた。また、siRNAによる遺伝子ノックダウンの実験、OR7C1プラスミドを用いた過剰発現の実験および各種阻害剤を用いた実験によりOR7C1がホスホリパーゼC経路を介して、大腸がん幹細胞の維持に関わるSOX2などを制御している分子であることを証明できた。さらに、OR7C1由来抗原ペプチドを用いて、HLA-A24陽性大腸がん患者5名の末梢血より細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導を試みたところ、施行した5名すべてにおいてOR7C1特異的CTLを確認できた。さらにこれらのCTLは、大腸癌細胞株SW480,HCT15,HT29の癌幹細胞様集団を傷害することを確認した。 以上のことから、大腸がん幹細胞に特異的に発現し、なおかつ、機能的に重要な分子であるOR7C1に対する免疫療法の可能性が示唆された。これらの研究は、がんの再発転移に関与している大腸がん幹細胞という、臨床上問題とながん細胞分画を免疫療法という新たなアプローチで治療できる可能性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、OR7C1のモノクローナル抗体の開発を目指したが、ポリクローナルなハイブリドーマは樹立したが、モノクローナルなハイブリドーマの樹立は現在施行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
OR7C1ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体を用いて、大腸癌組織検体を100症例程度染色し、OR7C1の染色性により予後に影響があるかどうか検討し、バイオマーカーになりうるか検討する。
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