2013 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体を移動相とするHPLC:難溶性高分子の溶液物性解析・制御
Project/Area Number |
12J03004
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
黒田 浩介 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオン液体 / セルロース / HPLC / 植物バイオマス / リグニン / 分子量分布 |
Research Abstract |
極性イオン液体はセルロースを常温で溶解できる唯一の溶媒であることから、植物バイオマスのエネルギー変換用の溶媒として非常に注目されている。エネルギー変換のはじめのステップとして、「バイオマスからのセルロース類の抽出」が挙げられる。その際に抽出条件と抽出されてきたセルロース類の分子量との相関については調べられていない。そこで我々は小麦外皮からイオン液体を用いてセルロース類を抽出し、これまでに開発してきたイオン液体を移動相とする高速クロマトグラフィー(HPILC)で分子量分布を測定した。 植物バイオマスの主成分はセルロース類およびリグニンであり、リグニンのみがUV吸収をもつ。そこでUV検出器と示差屈折率検出器を直列で用いてセルロース類とリグニンを区別しながらの検出を行った。移動相であるイオン液体はUV吸収をもつが、300nmの波長を利用することで、リグニンを検出できた。実際に小麦外皮から抽出した成分の分析を行った結果、セルロース類とリグニン由来のピークを確認できた。温度を25℃から120℃まで変化させて抽出を行い、測定を行った。その結果、低温では高分子量のセルロースを抽出することができず、高温にするほど高分子量のセルロースも抽出できることが分かった。また、80℃において抽出時間を変化させると、抽出されてくるセルロース類の分子量は変化せず、その抽出量が抽出時間に応じて増大することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最終年度へ向けて、当初の計画である「イオン液体を移動相とするHPLCを用いたバイオマスからの抽出物の解析」を行うための準備を整えることができた。さらに、極性イオン液体をNMRの解析用の溶媒としても適用し、セルロースとイオン液体間の相互作用を直接的に調べるためのシステムを構築した。そのシステムを用いてイオン液体の強力な水素結合能を評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに小麦外皮については検討をはじめており、今後は植物バイオマスの種類(草本類、針葉樹、広葉樹)を変えて測定を行う。また、バイオマスの部位(葉、樹皮、根など)ごとにイオン液体を用いて抽出操作をおこない、抽出条件と得られる分子量分布との相関について検討を行う。方法論は既に確立したため、問題点はない。
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Research Products
(8 results)