2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J03112
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 紀之 東北大学, 東北アジア研究センター, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 熱帯 / 生物多様性 / 群集生態学 / チョウ / 繁殖干渉 / ニッチ / 繁殖形質 / 配偶行動 |
Research Abstract |
研究課題, 「繁殖形質の多様性と熱帯における多種共存メカニズム」を進めるために、昨年度までにウガンダおよびグアテマラの熱帯林において調査したチョウ類のデータを解析した。その結果、一部の分類群ではごく近縁な種類が同じ生息環境を利用していたが、ほとんどのニッチを共有する近縁種間では繁殖に関わる形質(翅の大きさ、模様、活動時間、活動高度)が異なることが明らかになった。 繁殖形質の多様化に関しては、本研究課題で予測されている通り、ニッチの重複を許容するメカニズムとして重要だと考えられる。本研究で着想したアイデアをまとめるために、繁殖干渉(配偶時における負の種間相互作用)と群集中立説に関する論文を執筆した。群集中立説によれば、共存する種と個体数は種間競争のような決定論的な要因ではなく、ランダムな分散や確率的な人口動態過程によって決まっていると考えられている。この理論は樹木をはじめとした実際の群集パターンをかなり正確に表現できている。しかし、系統的にごく近縁な種間では、排他的な分布がしばしば観察されている。私は、群集中立説に繁殖干渉のプロセスを組み入れることで、この矛盾が解決できるのではないかと考えた。繁殖干渉は配偶シグナルの似た近縁種間でのみ強く効く。その一方、系統的に離れている種間では繁殖干渉はほとんど重要でなく、したがって中立説が予測する動態に近づくと考えられる。これは種間相互作用と確率的過程を統合する建設的な見方だと思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた解析、論文執筆が進んだため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はチョウ以外の分類群においても仮説が適用されるか検証する必要がある。具体的には、トンボ、テントウムシ、カタツムリ等の無脊椎動物を検討している。
|
Research Products
(2 results)