2013 Fiscal Year Annual Research Report
腐朽菌と細菌類間の木材腐朽時における微生物相互作用メカニズムの解析
Project/Area Number |
12J03141
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中田 裕治 東京農工大学, 大学院農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 木材腐朽菌 / 放線菌 / 菌叢解析 / 堆積処理 |
Research Abstract |
本研究課題の目標は、腐朽菌と相互作用を呈する細菌類を明らかにし、両者の相互作用メカニズムの解析である。最終年度では、白色腐朽菌Pleurotus ostreatusの培地基材に堆積処理した竹材オガコを用いた場合で、相互作用を呈する細菌類の特定を試みた。 本研究で用いた竹材は、堆積処理期間(0-24週間)にサンプリングしたものを用いた。得られた9つのサンプルから抽出したGenomic DNA を鋳型として、PCR-DGGE解析を行った。その結果、全てのレーンから複数のバンドが検出された。このことから、堆積処理期間中の竹材オガコ中には、複数の細菌類が存在していることが示唆された。また、堆積4週目において、ゲル中のバンドパターンの変化が観察され、この変化は8週目以降で安定していた。従って、堆積4週目以降で細菌類の菌叢が変化したことが予想された。ゲル中のバンドの塩基配列を決定し、相同性検索を行ったところ、放線菌であるStreptomyces属が多く検出された。このことから、堆積処理によってStreptomyces属が竹材オガコ中の主要な細菌類に変化したことが推察された。そこで、本菌の定量を行ったところ、P. ostreatusの成長率と本菌の存在量に相関がみられた。堆積4週目において、次に、堆積処理期間の竹材の細胞壁成分の分析を行ったところ、次に、堆積処理期間の竹材の細胞壁成分の分析を行ったところ、抽出成分の微減と堆積4週目で、還元糖量が顕著に減少していた。一方、細胞壁の主要成分には変化はみられなかった。以上の結果は、細菌類が腐朽菌の生育環境に何らかの影響を与えたことで、腐朽菌による木材分解が促進された可能性を示すもので、本研究によって、腐朽菌と細菌類による新たな腐朽機構に関する知見を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度では、竹材オガコ中の細菌類の菌叢解析を行い、主要な細菌類が放線菌Streptomyces属であることを明らかにした。本研究で得られた成果は、3件の学会年次大会にて発表した。また、学術雑誌に投稿するために論文を執筆中である。以上のことから当該研究の進捗状況について「②おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
放線菌Streptomyces属によってP. ostreatusの成長が促進された要因として、細胞壁成分の構造の変化、または、Streptomyces属の生産する抗生物質による影響が推測される。今後の推進方策として、細胞壁成分の構造の解析と抗生物質の詳細な解析を行うことで、成長促進の要因を明らかにすることが可能になると考えられる。上記の解析を行うには、竹材に存在するStreptomyces属の単離を行い、細胞壁成分の分解活性や抗生物質の生産能を調査する必要がある。また、竹材オガコを基材としてP. ostreatusと共培養を行った場合で成長率を明らかにする必要があると考えられる。
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Research Products
(3 results)