2012 Fiscal Year Annual Research Report
都市化に伴う蝶類分布の時空間的ダイナミクス:動的分布モデルを用いたアプローチ
Project/Area Number |
12J03222
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
曽我 昌史 北海道大学, 大学院・農学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 森林の分断化 / 都市化 / チョウ類 / 絶滅の負債 / 都市近郊林 |
Research Abstract |
近年、都市化に伴う森林の分断化が世界各地で急速に進行しており、森林の分断化にともなう生物多様性の変化を予測し、効率的に保全していくことが求められている。本研究では、都市化伴い蝶類分布がどのように変化するのかを明らかにすることを目的とした。さらに得られた結果から、都市景観における生物多様性を保全する際の最適な土地利用戦略を考案する。 研究計画の初年度であるH24年度は、調査地の選定と蝶類・地表性甲虫類を対象分類群とした大規模生態調査を行った。調査地として東京都内に35メッシュ(1km四方)を設置した。4月~10月まで調査を行い、11月から室内でサンプルの整理・同定を行っている。蝶類の調査はルートトランセクト法を、オサムシ科甲虫類の調査はピットフォールトラップを用いた捕獲調査を行った。現在、蝶類・オサムシ科甲虫類ともにおおよその同定が終了したため、これから解析を行う予定である。 一部のデータを用いた解析の結果、蝶類とオサムシ科甲虫類で森林の分断化に対する反応が異なることが明らかとなってきた。また蝶類のなかでも、森林性種と開放地性種では都市化に対する反応が異なることも明らかとなった。現在、その他のデータに関して解析を進めている段階であり、今年度は解析を中心とした論文執筆作業を行う予定である。なお、これらの解析結果に関しては昨年度中に日本生態学会、日本森林学会、日本景観生態学会にて発表を行い、日本森林学会ではポスター賞を授与された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度中に申請課題に関する野外調査・解析をすべて完了させることができたから。また、申請課題に関する論文も複数発表することができた点でも、研究の達成度は極めて高いと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はモデリング解析を中心とした作業を進め、主に論文執筆に専念する。さらに、申請課題の派生テーマにも着手する。当初の想定よりも、研究計画が順調に進んでいる。
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Research Products
(5 results)