2013 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性シロキシアレンの合成法の開発と合成反応への展開
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12J03250
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
近藤 泰博 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | キラルリチウムアミド / 光学活性アレン / Diels-Alder反応 / PTAD / シリルイミン / シリルアミン |
Research Abstract |
1. イネノイルシランを用いたキラルビニルアレン合成 光学活性アレンはDiels-AIder反応などの立体選択的な反応に用いることで, その不斉を複数の立体中心に転写することができる, そのため, 多様な置換基を有するアレンを立体選択的に合成することは有機合成化学における重要な課題のひとつである. 以前, アルキノイルシランをキラルリチウムアミドにより還元した後, 発生したキラルシリルアルコキシドからBrook転位, SE2'プロトン化反応が進行することで, 光学活性シロキシアレンが生成することを見いだしている(Angew. Chem. Int. Ed. 50, 6375-6378 (2011)). 本連続反応の基質として三重結合とアシルシランの間に2重結合を挟んだ基質を用いれば, エノールシリルエーテルを有するビニルアレンが生成するのではないかと考え, 検討を行った. その結果, E体の基質からはZ体の, Z体の基質からはE体のビニルアレンが選択的に生成することが明らかになった. そこでまずはZ体の基質から発生するE一ビニルアレンを, 単離することなく求ジエン体を作用させると, 環化成績体が立体選択的に得られた. 一方, E体の基質から生成するZ一ビニルアレンは[4+2]型環化付加反応を起こしにくいことが予想されるが, 非常に反応性が高い求ジエン体であるPTADを用いることで環化成績体を得ることに成功した. 2. キラルリチウムアミドによるシリルイミンの不斉還元 昨年, 窒素上に強力な電子求引性基であるトシル基を導入したシリルイミンをキラルリチウムアミドで処理すると高エナンチオ選択的に光学活性シリルイミンが得られることを見いだしている. 今回はその立体過程を明らかにするため, 分子軌道計算により, 反応の遷移状態の構造を求めたところ, これまで想定していた原系に近いイス型6員環状態ではなく, 生成系に近い歪んだ6員環遷移状態を経ることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
E-イネノイルシランから発生するZ-ビニルアレンにPTADを作用させることで[4+2】型環化付加反応を進行させ, 高エナンチオ選択的に環化成績体を得ることに成功した. またシリルイミンの不斉還元反応におけるヒドリド移動の遷移状態の構造を明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
イネノイルシランを用いたタンデム反応の適用範囲拡大を目指すとともに, 計算化学などの手法を用いて還元反応の遷移状態を明らかにしたい. また中間体のシリルアルコールからビニルアレンへ至る反応の立体過程を明らかにするため, 各中間体を単離し, 絶対構造を決定したいと考えている, さらに環化反応の遷移状態の構造, 自由エネルギーの値を分子軌道計算により求めることで, 連続反応の反応機構の全体像を明らかにしたい.
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Research Products
(6 results)