2013 Fiscal Year Annual Research Report
動物のパーソナリティに関する進化生態学的研究-生態から分子に至るまで
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12J03363
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中山 慧 九州大学, 理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | パーソナリティ / 遺伝相関 / ドーパミン作動系 / 遺伝基盤 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近年、進化行動生態学の分野で注目を浴びている、動物のパーソナリティの存在について、昆虫のパーソナリティをモデルにその遺伝学的・生理学的・分子生物学的特徴を明らかにすることで、パーソナリティの進化やその維持機構に対する理解を深めることを目的としている。具体的には、死んだふり(擬死)をしやすい個体ほど、普段からあまり動き回ることをしない大人しい個体であるというパーソナリティ(擬死と歩行活動性の遺伝相関)の至近メカニズムについて、コクヌストモドキ及びヒラタコクヌストモドキにおいて確立されている擬死選抜系統(L系統 : /刺激に対して擬死を行い、歩行活動性が低い ; S系統 : 擬死をせず歩行活動性が高い)を材料に、遺伝・生理・分子生物学的手法を用い多角的な研究を展開している。 昨25年度は、次世代シーケンサを用いた、擬死行動選抜系統間でのゲノム塩基配列比較実験に取り掛かった。解析に際して、各系統約80個体の擬死行動(時聞と頻度)や歩行活動量についてのデータを測定し、その後それらのDNAを抽出、業者に解析を依頼した。しかしながら、解析用サンプルの質に若干の問題があることが判明し、大事をとって再解析のためのサンプル準備に年度末より取り掛かることとした。論文については、本課題に関する共著論文一編が受理された。また、初年度に英国に半年間滞在し行った研究結果に関しては、現在ジャーナルでの査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来なら、年度末にはゲノム情報の解析結果が得られたはずであるが、残念ながら最終年度に持ち越しとなってしまった。しかしながら、すでに再実験に取り掛かっており、早ければ二ヶ月で結果は得られる。これまでのデータの論文化は順調であり、この点については今のところ目標は達成されているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、今後は次世代シーケンサを用いた解析をすすめる。やはり行動形質の遺伝基盤解析は、形態や色彩のそれとは異なりかなり複雑であることが予想される。そのため、QTLマッピングについては、塩基配列の系統間差異の固定具合を見て慎重に進めていく必要があるようである。
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