2012 Fiscal Year Annual Research Report
人間中心設計に基づくタッチパネルの設計指針整備に向けた操作特性評価
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12J03427
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西村 崇宏 早稲田大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タッチパネル / 人間中心設計 / 操作性 / 表面特性 |
Research Abstract |
タッチパネルが多様なデバイスに実装される中,近年ではタブレット端末に注目が集まっており,個人用情報端末に留まらず,教育や医療の分野においても積極的に導入が検討されている.例えば,教育における電子化の取り組みの一環として,政府は小学校・中学校・高等学校を対象に児童生徒の情報端末の利用や教科書の電子書籍化を検討しており,それに向けたインフラ整備や教育現場におけるICTリテラシーの向上が進められている.タッチパネルタブレット端末は今後の普及が期待される一方で,その操作性に関する課題も残されている.その一つに,指先でディスプレイをなぞって操作する際,指先が滑り難く,操作し難いといった問題点が指摘されている. そこで本研究では,タッチパネルタブレット端末の人間中心設計に寄与する知見の獲得を目指し,ディスプレイの表面特性と指先の滑り易さの関係を調べるとともに,表面特性の違いによる指先の滑り易さが操作性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.本研究で得られる知見は,タッチパネルディスプレイやディスプレイ保護フィルムの表面設計を行う際の参考データになるとともに,指先の滑り易さに配慮したソフトウェアの設計指針に資するものであると考えられる. 初年度は,まず指先の滑り易さが異なるディスプレイ表面を再現するため,算術平均粗さと動摩擦係数を評価指標として定量的に指先の滑り易さが異なるディスプレイ保護フィルムの選定を行った.そして,選定したフィルムを用いてタッチパネルタブレット端末の操作性評価実験を実施し,ディスプレイの表面特性と操作性の関係を調べた.その結果,タッチパネルタブレット端末のディスプレイにおける指先の滑り易さと操作性の関係が明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度における研究への取り組みに関しては,当初の計画通り,タッチパネルのディスプレイ保護フィルム表面の算術平均粗さ及び動摩擦係数の計測を行い,フィルムの表面特性と指先の滑り易さの関係を定量的に評価することができた.さらに,これらのフィルムを用いて操作性評価実験を実施し,タッチパネルの人間中心設計に寄与する知見を得ることができた.これまでに評価がなされてこなかったタッチパネルタブレット端末のディスプレイ表面における指先の滑り易さと操作性の関係を明らかにし,タッチパネルタブレット端末の人間中心設計に寄与する知見を獲得できたことは価値あるものだと考える.これらのことから,本研究はおおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については,タッチパネルタブレット端末の操作性に関する課題を改めて整理したうえで,引き続き操作性向上に資する操作特性の定量的データの取得を目指す.具体的には,依然として操作性向上に向けた課題として指摘がなされているGUIのミスタップに関して,適切なGUIのサイズや形状を操作時の指の使い方と関連付けて評価していく予定である.本研究で得られる定量的な操作特性データは,タッチパネルの操作性向上に向けたGUIの設計指針整備において有益な知見を示すものと考える.また,学術雑誌や学会発表を通じての研究成果の普及にも努めていく予定である.
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Research Products
(8 results)