2014 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブの電気伝導特性ひずみ依存性解明と超高感度ひずみセンサへの応用
Project/Area Number |
12J03435
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大西 正人 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | カーボンナノチューブ / ひずみ / 電子輸送特性 / タイトバインディング近似 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の最終年度である本年度は,軸方向圧縮ひずみ負荷により屈曲変形したカーボンナノチューブ(CNT)の電子構造変化の予測手法を確立した.前年度までに,炭素原子のπ軌道の成す角(二面角)の変化により半径方向ひずみが負荷したCNTのバンドギャップ変化を予測できる見通しを得ていた.そこで本年度は,二面角と一様な半径方向ひずみを負荷したCNTのバンドギャップの関係を詳細に解析したところ,カイラリティによらず二面角が約30度付近から0.07 eV/度の割合でバンドギャップが減少することを明らかにした.また,独自に開発したtight-binding近似に基づく電子状態解析コードを用い各固有状態のσ-π軌道の混成度合いを解析した結果,CNTに半径方向ひずみが負荷すると伝導帯においてσ-π軌道が混成し,それによって曲率の高い領域の軌道の局在化,さらに状態エネルギーの減少が生じることを明らかにした.また,グリーン関数法を用いた電子輸送解析プログラムを開発し,軸方向圧縮ひずみを負荷したCNTの電子輸送特性変化を解析した.これにより,CNTの屈曲に伴い臨界値(30度)を超える二面角の数が急激に増加するため,屈曲部で軌道混成による電子散乱が増加し,CNTの電気抵抗が急激に増加することを明らかにした.一方で,CNT内部の欠陥の増加に伴い電気抵抗のひずみ感度が低下することから,CNTをひずみセンサとして応用するためには欠陥密度の制御が不可欠であることを明らかにした.これらの解析により二面角と分子動力学解析による構造解析を用いることで,CNTひずみ感度のカイラリティや欠陥依存性を定量的に予測できる見通しが得られた.これらの知見は,CNTの電子特性ひずみ依存性を応用したひずみセンサ作製やCNTデバイスの信頼性向上に活用されることが期待される.
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|