2014 Fiscal Year Annual Research Report
シロアリのカースト分化調節機構の解明:兵隊分化をモデルとしたソシオゲノミクス
Project/Area Number |
12J03468
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邊 大 北海道大学, 地球環境科学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シロアリ / 兵隊 / カースト分化 / ソシオゲノミクス / RNA-seq / 次世代シーケンサー / 幼若ホルモン / GCMS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,シロアリの兵隊カースト分化調節の至近機構を明らかにすることを目標としている.兵隊は幼若ホルモン(JH)量の上昇に伴って職蟻から分化するカーストで,その分化は巣内の兵隊が少ないと促進され,十分だと抑制される.兵隊分化調節には,兵隊による起動フェロモンの分泌と,職蟻でのフェロモン受容,JH量の変化,後胚発生の制御が関係すると考えられるが,詳細は不明である.そこで本研究では,①GCMSやLCMSを用いた化学生態学的解析と,②次世代シーケンサー(NGS)を用いた分子生物学的解析により,フェロモン受容や発生制御の至近機構を明らかにすることを目的とする.材料はヤマトシロアリReticulitermes speratusである. 職蟻並びに兵隊の体表洗浄物中に含まれる有機物を解析・比較したところ,本種の兵隊には,職蟻にはない特異的な有機物が多く含まれることが明らかとなり,特に顕著な存在比を示す2つの有機化合物を同定することができた.また,地域個体群ごとにこの2つの有機化合物の存在比が変化することも明らかとなった.これらの有機物が,兵隊分化制御機構などの兵隊特異的な機能に関係している可能性は高いと考えられる. 更に,「兵隊の影響を受けなかった職蟻」と「兵隊の影響を受けた職蟻」のトランスクリプトームを比較するRNA-seqについて,繰り返しを用意し,より信頼性の高い解析を行った.職蟻由来のmRNAから再構成された約18万個のコンティグを利用した発現解析をした結果,兵隊の不在・存在によって有意に発現量が変動する遺伝子について改めて知見を得られたと同時に,アイソフォームレベルで発現量が異なる遺伝子があることが,今回新たに明らかになった.兵隊分化制御には,単に遺伝子の発現のオンオフだけではない,複雑なメカニズムが関係することが示唆された.
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(11 results)