2012 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒によるsp3 C-H官能基化を利用した新規インドール合成法の開発
Project/Area Number |
12J03562
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南條 毅 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | C(sp^3)-H活性化 / イソシアニドの挿入 / パラジウム触媒 / インドール / カスケード反応 |
Research Abstract |
今年度はイソシアニドの挿入反応とC(sp^3)-H活性化からなる連続的なプロセスを利用したインドール合成法の開発を中心に研究を実施した。申請者は本研究課題における初期検討の結果から、1当量のパラジウム触媒を使用することで反応が良好に進行すること、およびイソシアニドを用いた反応における触媒化には、イソシアニドを後から徐々に滴下する実験操作が有効であることを既に見出していた。その知見に基づいて、まず様々なパラジウム種、配位子、塩基、添加剤およびイソシアニドの滴下速度等を詳細に検討し、5mol%の触媒量でも良好な収率で目的とするインドールを与える反応条件を確立した。つづいて、得られた最適条件を種々のハロゲン化アリールおよびイソシアニドに適用し、本反応が様々なインドール誘導体の合成に用いることができることを示した。C(sp3)-H活性化における反応機構の詳細な解析は今後の反応設計において非常に重要であるが、本反応においても同位体実験および錯体の単離等を行い、妥当な反応機構を考察した。さらに、本戦略にアルキンの挿入を組み込んだカスケード反応の開発にも成功し、多環性カルバゾールを構築できることを見出した。申請者はそれを利用して、抗がん活性を有する医薬化学上重要なインドロカルバゾールの5環性骨格の簡便な構築にも成功した。以上の結果より、本インドール合成法は既存のアプローチとは違う効率的な手法であることを示せた。また、パラジウム触媒によるC(sp^3)-H活性化に挿入等を組み込んだ反応はこれまでほとんど例がなく、C(sp^3)-H活性化のさらなる可能性を提示したものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イソシアニドに対する求核攻撃を利用したインドール合成法についてはまだ検討中ではあるが、交付申請書に示したその他の内容についてはおおむね達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在メチル基のC-H結合活性化のみが可能であり、メチレン、メチンのC-H結合活性化を行った報告例はいまだ少ない。申請者は見出した反応のさらなる発展を目指し、メチル基のみでなく、メチレン、メチンのC-H結合活性化を視野に入れ、配位子、基質設計等を行っていく予定である。
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