2012 Fiscal Year Annual Research Report
構成要素ナノ配列制御によるCNT/セラミックス複合材料の高度化と実用に向けた挑戦
Project/Area Number |
12J03582
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白須 圭一 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | カーボンナノチューブ / 複合材料 / 単軸引張試験 / 界面特性 / 表面修飾 |
Research Abstract |
研究課題1.MWCNTの破壊特性と結晶構造との関係を評価する目的で,SEM観察下においてMWCNT単味のin-situ単軸引張試験を行った.引張試験に供したMWCNTは,アニール温度の異なる4種類(1200,1800,2200,2600℃)のものを対象とした.MWCNTの結晶性はアニール温度の増大に伴い向上していることが認められた.一方,MWCNTの破断強度は1800ならびに2200℃でアニール処理を行ったものが最も高く,MWCNTの力学的特性を向上させるための最適なアニール温度が存在することが明らかとなった.これらのMWCNTs添加材料として使用し複合体の作製を行うことで,複合体の機械的特性に及ぼすMWCNT単味の破壊特性の影響を評価することが可能であると予想され,MWCNTsの材料特性を活用した複合材料の設計において有益な知見を提供できるものと考えられる. 研究課題2.MWCNTsの添加による複合体の高靭化メカニズムを同定し,き裂架橋効果の更なる発現を実現すること,ならびにMWCNTsの均質分散を目的としている.高靭化メカニズムの同定には,複合体の破面から突出したMWCNrの引張試験を行いMWCNr/セラミックス間の界面特性の評価を行うことで明らかにする.研究課題1で得られた高破断強度を有するMWCNTsを添加した複合体を用いて破面からのMWCNT引抜き試験を試みたものの,依然MWCNTsは引抜けずに破断することが明らかとなっており,現在は界面強度の評価のための薄片作製に取り組んでいる.これまでに機械加工ならびにイオンミリングにより薄片の作製に成功しており,今後MWCNT引抜き試験を通して界面強度の定量的な評価を行う予定である.また,MWCNTs均質分散複合体の作製のためのMWCNTs表面修飾も行っている.表面修飾にはMWCNTsへのダメージが小さい高分子電解質による方法を行っており,未処理のMWCNTsに比べ溶媒中での分散性が向上したMWCNTsの取得に成功した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カーボンナノチューブ(CNT)の破壊特性評価法の開発と破壊機構解明に関する研究を進め,ナノマニピュレータによるCNT単味の引張実験によりCNTの破断強度と結晶構造との関係を明らかにした.また,CNTと母材との界面特性を評価するためのCNT引抜き試験の試験片作製に成功しており,界面強度の実験的評価ならびにCNTの引抜け/破壊挙動の解明が期待される.これらの成果は,CNT/セラミックス複合材料の高靭化メカニズムの同定ならびに破壊靭性値改善のために重要な知見を提供するものである.また,CNT均質分散の方法論ならびに構成要素ナノ配列制御による材料合成法を構築するための適切なCNT表面修飾の条件についても知見が得られつつあり,今後更なる成果が期待される.
|
Strategy for Future Research Activity |
CNT/セラミックス間の界面強度評価のために,複合体の破面からCNTの引張試験を試みているが,CNTが引抜けずに破断することが明らかとなっている.そこで,サンプルを機械加工ならびにイオンミリングにより薄片化することでCNTの引抜き試験を試みる予定である.また,CNTの分散性向上のための方法論を構築しつつあるものの,表面修飾したCNTを母材に配合した後に分散性が保持されているかの検討を十分に行う必要があると考えている.
|
Research Products
(7 results)