2013 Fiscal Year Annual Research Report
可解な超弦理論及びM理論における真空転移機構とその動力学的原理の探求
Project/Area Number |
12J03610
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入江 広隆 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 非摂動論的双対性原理 / ストークス現象 / 行列模型 / 非摂動論的弦理論 |
Research Abstract |
今年度は、「(p, q)ミニマル弦理論」の非摂動論的再構成を包括的に全ての(p, q)において構成しました。そしてその上で、このミニマル弦が持つ双対性の一つである「p-q双対性」を非摂動論的に定式化し、私は「一般に弦の双対性は非摂動論的に壊れる」ことを示し、「弦の双対性を非摂動論的に保つ」ということが弦理論の非摂動論的不定性を制限する原理として働くことを定量的に示しました。即ち、弦理論の摂動論的定式化だけでは定まらない「弦理論の未定義部分」が「非摂動論的双対性原理」によって補われることを世界で初めて確認したと言えます。これは弦理論の非摂動論的定義を理解する上で非常に重要な事実だと思われます。また、前年度の「非摂動論的弦理論の行列模型による記述は不定性があるが、その不定性は行列模型によるくアーティファクト〉であって本質的ではない。双対性でっながる複数の行列模型全体で以って弦理論を定義するべきだ。」という予想を実際に正しい方向性であることを示したのです。 「(p, q)ミニマル弦理論」という摂動論的弦理論からストークス現象の解空間でもって非摂動論的弦理論の解空間を構成しました。するとこの再構成の仕方にスペクトラル曲線F(x, y)=0の「x」を基準にするか「y」を基準にするかの自由度が生じます。これがが「p-q双対性」です。摂動論においてこの双対性は摂動論の全次数において正しいことはすでに知られており、そのような双対性に非摂動論的不一致が生じることは極めて非自明なことです。具体的には「x座標上」で固有値の動力学として理解できる系が、「y座標上」では固有値の動力学として理解できなくなります。これはy座標の自由度を先に積分してしまった補助場として動力学的意味を持たなくなるためだと考えられます。これと同様なことがxとyをひっくり返すことでも現れます。そして、「x座標とy座標の両方で動力学的意味を持つ」ことを非摂動論的双対性だとすると、非摂動論的不定性に制限を与えることが出来るのです。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、「弦の双対性」に「非摂動論的不一致」が存在することを発見した。前年度に予想はしていたとは言え、それが実際に起こっていることを示せたことは非常に意義深い発見であった。また現在、「摂動論的真空間の非摂動論的接続公式」の研究を遂行中であり、その進展が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もこの調子で研究を遂行じてゆく。ただし、一ひとつの論文に数多くの結果を乗せすぎて一本のページ数が膨大になってしまっている。今後は適切な長さの論文を書いてゆくことが必要であると考える。また、「非摂動論的双対性原理」に関する結果を世界的に宣伝して回ることも大変重要であるため、今後もそのような機会を多く取るべきだろう。
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Research Products
(11 results)