2012 Fiscal Year Annual Research Report
放射光X線回折を用いたゼオライト結晶化に寄与するアルミノシリケート前駆体の解明
Project/Area Number |
12J03700
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
佐藤 可久 横浜国立大学, 環境情報学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ゼオライト / 非晶質 / 放射光 / X線回折 / 粉砕 |
Research Abstract |
ゼオライトはイオン交換材、吸着材、石油化学触媒など工業的に広く用いられいるが、その結晶化挙動は仕込み組成、pH、合成温度、混合方法、合成時間といった様々なパラメータが複雑に組み合わさっているため、未だ完全に解明されていないのが現状である。そこで、本研究では、"ゼオライトが結晶化する直前の非晶質の構造と最終生成物であるゼオライトの構造の相関を明らかにする"ことを目的とする。そのために前駆体非晶質とゼオライト結晶の関係の体系化および非晶質ネットワークの構造および再結晶化中の構造変化の解析を行う。 当初の研究実施計画に従い、A型ゼオライトを中心に非晶質を作製し、高エネルギー放射光X線回折による回折データから非晶質の構造について解析を行った。 粉砕の方法や、加熱法などの非晶質化プロセスの違いにより、作製される非晶質は同じ原料でも構造が異なるという結果が得られた。具体的には粉砕により応力がかかった際にリング構造が歪むことにより、平均原子間距離が短距離側にシフトする、加熱法では原料に存在していたリング構造が減少するといった結果が得られた。ビーズミルの非晶質化について"Characterization of Amorphized Zeolite A by Combining High-Energy X-ray Diffraction and High-Resolution Transmission Electron Microscopy"という題でJournal of Physical Chemistry C誌に論文を投稿し、採択されている。 また、非晶質化したゼオライトを原料として再結晶化を行った。同じ条件で再結晶化させた場合でも、原料サンプルによって結果が異なり、非晶質の構造が再結晶化結果に影響を与えることが確認された。ただし再結晶化過程については非晶質の具体的な構造が現時点で解明されていないこともあり、今後引き続き研究を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非晶質化のプロセスには期待通り解析が進んでいるといえる。ただし現時点でそれぞれの非晶質が具体的にどう違うのかが分からないため、再結晶化において何が影響するのかがはっきりとせず、引き続き研究を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
Reverse Monte Carlo(RMC)法による非晶質の計算機シミュレーションを行い、これにより構造、リング分布等を計算し、条件(Si/Al比、再結晶化溶液、合成温度、合成時間等)振りごとについて再結晶化処理結果の整理を行う予定である。
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Research Products
(2 results)