2012 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒と有機分子触媒を共触媒系とする不斉4級炭素構築
Project/Area Number |
12J03746
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村上 慧 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アミノ化 / カルベン配位子 / パラジウム触媒 / シリル化 / 蛍光 |
Research Abstract |
今年度はパラジウム触媒と有機分子触媒の共触媒を用いてカルボニル化合物のα位に不斉4級炭素を構築することを目的とし、研究を行った。有機ハロゲン化物を用いたカップリング反応を行うにあたり、まずアリールハライドに対して、様々な反応条件を検討した。検討の過程において、N-ヘテロサイクリックカルベン配位子(以降NHC配位子)を有するパラジウム触媒を用いて反応を行った際、塩基として用いたアリールアミンがハロゲン化アリールに導入されたトリアリールアミンが得られるということがわかった。これは一般に合成は容易ではないトリアリールアミンを一挙に構築できる有用な手法である。本反応をさらに検討した結果、様々なかさ高いアリールハライドとアミンを用いることができる一般性の高いアミノ化反応へと展開することができた。また合成したアントラセニルジフェニルアミンは固体状態においても強い緑色蛍光を示す興味深い化合物であり、この面においても更なる展開を目指す。一方、アミノ化のみならず、ジシランを用いることでハロゲン化アリールのシリル化も行うことができた。本反応においては、先ほど用いたNHC配位子よりもBuchwald型のビアリールポスフィン系配位子やトリターシャリーブチルホスフィンを用いることで、効率的な反応が進行することが明らかとなった。このように適切な配位子を選択することで、従来難しいとされている反応が円滑に進行することが明らかとなった。特に不斉4級炭素構築において用いるシリルエノラートと類似構造を持つジシランが円滑に反応したということは研究目標に対して重要な知見であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状において不斉4級炭素の構築には至っていないものの、検討の途中において従来難しいとされているアリールハライドのアミノ化を見いだすことができた。またこれを展開することにより、アリールハライドとジシランの反応を構築し、シリルエノラートとの反応における重要な知見を得ることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、アリールハライドとジシランの反応を検討する。この際、得られる知見を元にアリールハライドとシリルエノラートの反応も検討する。有機触媒においても二座の触媒に限らず、多点で配位できるカリックスアレーンやアニオンと親和性を持つ可能性がある環拡張ポルフィリノイドなどの合成を行い、反応を検討する。計算化学を用いて遷移状態の検討や触媒系の最適化も重点的に行いたいと考えている。
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