2012 Fiscal Year Annual Research Report
筋疾患治療を見据えた骨髄細胞による高効率な筋再生方法の開発及びその分子機構の解明
Project/Area Number |
12J03873
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 諒 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 筋ジストロフィー / 骨格筋再生 / 再生誘導医療 / 骨髄間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
本研究は筋ジストロフィーをはじめとした筋疾患に対して新しい治療法の可能性を示すことを目的とし研究をすすめている。近年、損傷時に血液中に放出されるHMGB1が骨髄内に存在する間葉系の細胞を刺激し、皮膚損傷部位に動員し、皮膚再生に寄与している可能性が示された。しかしながら、動員され、再生に寄与する骨髄間葉系細胞のうち具体的にどのような細胞集団が関わっているのかは明らかでなく、さらに筋ジストロフィーにおいてそれらの集団がどのような役割をもつかは明らかではなかった。 そこで、まず私は骨髄由来の間葉系細胞集団のうち、どの細胞集団が筋ジストロフィーにおいて筋に動員されているのかを明らかにした。また実際にこれらの細胞集団が骨髄から筋肉にどのような分子メカニズムを介して動員されているのかについても現在検討中である。筋組織に動員し、再生に貢献しうる特定の細胞集団を明らかにすることや、それらの動員メカニズムを知ることは非常に重要であると考えられる。なぜなら、筋組織に動員される細胞集団を特定することによって、それらの細胞集団の特徴を知ることが可能になり、さらにその特徴を生かした治療を開発することにもつながるからである。また、骨髄間葉系細胞の特徴として細胞培養によって細胞数を増加させることができるため、特定の細胞集団を同定し、集めさらに増やすことによって、より高効率な筋再生が期待できるものと思われる。これらのことは筋ジストロフィーにとどまらず、さまざまな炎症を伴う難治性疾患などに幅広く応用できる可能性があることも示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特定の筋に動員される骨髄間葉系細胞の同定を行うことができたが、依然高効率にそれらをin vitroで高効率に分化する方法が開発できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.骨髄より、筋組織へ動員されうる骨髄間葉系細胞について詳細な検討を行う。 2.さらにその骨髄から血中、血中から筋組織へと動員される骨髄間葉系細胞のメカニズムについて解析をすすめる。候補分子に関してはノックアウト、ノックダウンを利用した方法でその分子メカニズムを説明することを計画している。 3.特定した骨髄間葉系細胞の筋分化方法の開発を進める。
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