2013 Fiscal Year Annual Research Report
筋疾患治療を見据えた骨髄細胞による高効率な筋再生方法の開発及びその分子機構の解明
Project/Area Number |
12J03873
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 諒 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 骨髄間葉系間質細胞 / 筋ジストロフィー / 細胞治療 / 骨格筋幹細胞 / TSG-6 / CD44 |
Research Abstract |
我々はDuchenne型筋ジストロフィーにおける骨髄間葉系細胞の役割と病態との関係、さらにこれらの細胞を利用することによる再生誘導医療の可能性について検討している。 昨年までのデータにおいて骨髄内の二つの間葉系細胞集団(Lin-/ckit-/CD106+/CD44+and Lin-/ckit-/CD106+/CD44-)が筋ジストロフィーマウスで減少していることを明らかにした。そこで本年度はそれらの細胞集団の特徴を知るために次世代シーケンサーを用いて全遺伝子発現を網羅的に解析した。RNAシーケンスの結果においてこれらの細胞集団は非常に似ているものの、細胞周期に関わる遺伝子やサイトカインの発現が大きく違うことが明らかとなった。これらの情報より、我々はこれらの骨髄間葉系細胞集団のうちLin-/ckit-/CD106+/CD44-細胞はより未分化な幹細胞に近い性質を維持しており、Lin-/ckit-/CD106+/CD44+細胞は増殖能や遊走性の高い前駆細胞であると考えている。前年度までに我々は筋ジストロフィーマウスの骨格筋には骨髄由来(GFP)のLin-/CD106+/CD44+細胞がより多く遊走されていることを明らかにしており、これらのデータと今年度得られた次世代シーケンスのデータは一致しているといえる。 さらに我々は骨髄由来でより多く筋肉内へ遊走されるこの細胞集団の骨格筋内での作用の解析を試みている。まず骨格筋内へと郵送された骨髄由来細胞をFACSによりソーティングし、炎症抑制に関わる遺伝子発現を解析した。骨髄由来細胞の非血球分画のうち上述したマーカーをもつ細胞集団は炎症抑制作用を持っといわれるTNF-a-stimulated gene/protein-6 (TSG-6)を強く発現することがわかった。今後はさらに骨格筋内でのこの細胞集団から放出されるTSG-6に着眼し、筋再生に及ぼす影響を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2年度目の研究実績において、昨年度同定した細胞集団の大規模解析を行い、研究がさらに進歩したと考えられる。これらの集団の筋再生や筋ジストロフィーにおける生理学的意義については不明な点が現在も多くあるが、今後の研究課題が昨年度の解析によって明確になったと言えるため、おおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、骨格筋に動員された骨髄間葉系間質細胞集団のうち、Lin-/ckit-/CD106+/CD44+細胞に着眼し、この細胞集団がどのように骨格筋再生に関与しているのかを分子レベルで解明していく。具体的には、昨年度の結果より、この細胞集団は損傷時に特異的に骨髄から動員され、TSG-6を分泌することが明らかとなった。このことから、TSG-6の骨格筋再生における作用についてもう少し詳しく検討する。さらに、今回同定した細胞集団が、HMGB1投与により損傷骨格筋により多く蓄積するかどうかを検討する予定である。その増加が骨格筋再生を促すかどうかも同時に検討する。
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Research Products
(3 results)