2012 Fiscal Year Annual Research Report
軟体サンゴウミキノコ属の系統解析と生理活性物質の多様性
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12J03933
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
荒武 里衣 琉球大学, 理工学研究科(熱帯生物圏研究センター), 特別研究員(DC2)
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Keywords | ソフトコーラル / 分子系統解析 / 生理活性物質 / 多様性 / 地域差 / 褐虫藻 / トランスクリプトーム解析 / 環化酵素 |
Research Abstract |
本研究は、ウミキノコ属の種と含有生理活性物質の関連性を明らかにすることで、ウミキノコ属が持つ生理活性物質の生物に与える影響を明確にし、ウミキノコ属の分類・生態・環境適応を検証することを目的としている。本研究遂行の為、3つのアプローチを提案し、実施した。以下、実施状況・結果をここに報告する。 1)多様な環境に生息するウミキノコ属と含有化合物の変異。ウミキノコ属の含有化合物の地域差を確認するため、日本とインドネシアの合計6地域に生息するウミキノコ属の個体を採集し、生理活性物質の同定、分子系統解析を行い、それらの関係を地域毎に比較した。結果、S.trocheliophorum、S.glaucum、Mixedクレードで、化合物タイプに地域差があることを確認した。 2)共生する褐虫藻の検討。生理活性物質の化合物タイプに、褐虫藻が関与する可能性を確認するため、現在2つの実験を進めている。1つは、DGGE法を用い、1コロニーに含まれる褐虫藻群集の構造解析を行なっている。一方は、葉緑体光合成遺伝子psbA領域を用いて分子系統解析を行い、化合物との関係性を確認している。 3)ウミキノコ属のトランスクリプトーム解析。ウミキノコ属S.trocheliophorumを用い、RNAを抽出した後、生合成酵素を特定するため次世代シーケンサーIllumina HiSeq200(基礎生物学研究所共同研究)を用いて、網羅的なトランスクリプトーム解析を行った。得られた配列は、アセンブル、アノテーションを行った後、ライブラリーを作成。NCBIデータベースを用いてウミキノコに含まれる生理活性物質の生合成に使われると考えられる環化酵素を探索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請書に記述した研究実施計画に沿って研究が順調に進展している。計画した3つの研究は、計画した内容に全て着手している状況であり、いくつかの結果を得た。ウミキノコの地域毎の生理活性物質変化は確認され、現在報告の為、執筆中である。褐虫藻については、現在実験を行い、データを集めている最中である。トランスクリプトーム解析では、次世代シーケンサーの使用が実現し、現在データ解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、研究計画に沿って進める予定である。特に、ソフトコーラルの次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析は、未だ報告されておらず、今回が世界ではじめての試みである為、トランスクリプトーム解析について重点的に研究を進めていく方針である。
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Research Products
(2 results)