2013 Fiscal Year Annual Research Report
相溶性高分子ブレンド系の成分ダイナミクス:動的不均一性の効果
Project/Area Number |
12J04049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川崎 洋志 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | レオロジー / 高分子ブレンド / 動的不均一性 / 誘電緩和 / 会合性高分子 |
Research Abstract |
平成25年度は, 前年度に明らかにした, ポリ(p-tert一ブチルスチレン)(PtBS)がガラス状態にある中でのポリイソプレン(PI)の大規模緩和機構を取り入れた運動モデルを検証することを目的に研究を遂行した. まず, 前年度に得たPIとPtBSを, 重量の比率を様々に変えて混合することでブレンドを得た. ブレンド中でPIのみが主鎖骨格に並行なA型電気双極子を持つため, 長時間域ではPIの大規模運動(鎖全体にわたる運動)のみが誘電活性である. 得られたブレンドについて誘電緩和測定を行うことで, ブレンド中のPtBSがガラス状態となる低温で, ゴム状態にあるPIが大規摸運動をしていることを確認した, 前年度に構築したモデルを用いると, 異なる混合比を持つブレンド中でも, PIの大規模運動の緩和時間の分子量依存性はよく説明されることがわかった. 現在, モデルの描像を直接的に検証する手法を検討中である. また, 本研究と平行して, 前年度に引き続き, 末端会合性高分子によるゲルのダイナミクスに関する研究も行った. Binghamモデルを改良したモデルを構築し, このゲルのレオロジー挙動をある程度よく表すことに成功した. 同モデルでは, 降伏応力を時間に依存するパラメタとしている, 降伏応力は, 系内の網目の本数を反映すると考えられる. このことから, 降伏応力の時間依存性は, 系の網目の組み替え挙動を反映していると考えられる. このモデルでは, 降伏応力低下の特徴的時間が0.15秒と見積もられた. これは, 網目が非常に速く組み替えていることを示唆している. 非常に速い組み替えの理由として, 腕が剛直で, かつ系中で分子が密に充填されているために, 会合末端同士の衝突確率が高まることが考えられる. この研究結果について国内の学会および国外のワークショップで発表した. この研究は, 京都大学薬学研究科との共同研究として行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究の目的として挙げた, ブレンド中で遅い成分がガラス状態となる低温での, ゴム状態にある速い成分の鎖全体に渡る運動(大規模運動)の機構を記述するモデルの検証を行うことに取り組んだ. 前年度に得たポリイソプレン(PI : 速い成分)およびp-tert-ブチルスチレン(PtBS : 遅い成分)を様々な重量比で混合し, ブレンドを得た. ガラス状態にあるPtBS中でのPIの大規模運動を選択的に検知し, 緩和時間データを得た. 前年度に構築したモデルで, 重量比が異なるブレンド中PIの大規模運動の緩和時間もある程度よく説明されることがわかった. また, 一時的網目系の網目組み替え時間を決定する因子を仮定し, 現在検討中である. よって, 研究はおおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, 遅い成分がガラス状態にある中での速い成分の大規模運動機構に関する知見を深化させるために, 平成24年度に考案したモデルを検証する. PtBSがガラス状態となる低温でのPIのセグメントの拡散定数の時間依存性を実験的に検知し, これが, モデルによる計算値と一致することを確かめる, この手法として, 放射性炭素で標識したPIに対して核磁気緩和測定を行うことで, ブレンド中のPIセグメントの拡散を選択的に検知する方法を検討している. また, 種々の一時的網目系の網目組み替え時間を比較することで, 網目組み替え時間を決定する因子を明らかにする.
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Injectable, self-geling, biodegradable, and immunomodulatory DNA hydrogel for antigell dellvery2014
Author(s)
Makiya Nishikawa, Kohei Ogawa, Yaka Umeki, KohtaMohri, Yohji Kawashaki, Hiroshi Watanabe, Natsuki Takahashi, Eri Kusuki, Rei Takahashi, Yuki Takahashi, Yoshinobu Takakura
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Journal Title
Journal of Controlled Release
Volume: 180
Pages: 25-32
DOI
Peer Reviewed
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