2013 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨に着目した無血管な間葉組織の形成・維持メカニズムの解明
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12J04099
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 寛 京都大学, 再生医科学研究所, 学振特別研究員(PD)
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Keywords | Chondromodulin-I / zebrafish / transcrition / cartilage |
Research Abstract |
軟骨は間葉系では例外的な無血管組織として知られ、軟骨が組織としての機能を維持するためには、軟骨ECMへの血管侵入から守られる必要がある。しかし、この特徴的な軟骨の無血管状態維持機構については良くわかっていない。軟骨に発現するChondromodulin I (ChM-1)は分泌型の糖タンパク質で、軟骨ECMに蓄積して血管の侵入を阻害することで軟骨組織の形成・維持に関与することが知られている。本年度は、昨年度、ゼブラフィッシュを用いて同定した軟骨特異的なChM-1の転写制御に関わるエンハンサー領城のさらなる絞り込みと、この領域と協調して機能する転写因子の探索を目的として研究を行った。 ゼブラフィッシュのChM-I遺伝子のlstATGより上流の配列とGa14を繋ぎ合わせたコンストラクトを作成した。このコンストラクトをゼブラフイッシュ胚(UAS-EGFP)への注射し、EGFPの発現を蛍光顕微鏡下で観察した。レポーター遺伝子に連結するChM-1遺伝子上流の領域を徐々に狭めた結果、下顎の軟骨特異的たEGFPの発現を調節するうえで重要な領域を約30bpまで絞り込むことに成功した。そこで、この領域に結合する転写因子を同定するため、ゼブラフィッシュから抽出した核画分を用いてDNAプルダウンアッセイを行い、質量分析によって転写因子Xを同定した。この転写因子XとゼブラフィッシュChM-1遺伝子の1stATG上流配列を用いてルシフェラーゼアッセイを行った結果、転写因子Xの発現により有意に転写活性が上昇することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、この研究の核となるゼブラフィッシュChmi遺伝子の転写制御領域およびその転写制御に関わる候補因子の同定という、期待どおりの結果を残すことができた。これらの成果について発表した国内学会では、今後に向けた有意義な議論も展開することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度までに同定した候補因子が、実際にゼブラフィッシュChml遺伝子の転写制御にかかわっていることを確認するため、トランスジェニック技術を用いた候補因子の過剰発現系を作成し、Chml遺伝子の発現に与える影響の確認やクロマチン免疫沈降実験を行う。これらの実験結果をまとめ、学術論文として発表する。
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Research Products
(2 results)