2014 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫系におけるHMGBタンパク質を中心とした新規核酸認識機構の解明
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12J04120
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千葉 志穂 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自然免疫応答 / 細胞内核酸受容体 / ウイルス感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
核酸を用いたプルダウンと遺伝子発現ノックダウンによるスクリーニングにより核酸認識候補分子として同定されたNAS1タンパク質について、本研究の一連の解析において、上皮細胞においてウイルスの複製に正に寄与することが示唆される知見が得られた。NAS1 KOのMEFにおいては、野生型に比べ、I型単純ヘルペスウイルス (HSV-1) 感染させた場合の培養上清中への複製ウイルスの放出が10%未満にとどまった。またHSV-1感染時のNAS1の細胞内での動態を、抗NAS1抗体を用いた免疫染色により解析したところ、通常は核内に圧倒的に多く存在するNAS1が、HSV-1感染細胞においては細胞質にも移行し、細胞膜付近に至るまでドット状の分布を示すことがわかった。また、この現象はHSV-1が核内において複製され、細胞外へ放出されるタイムコースと一致する。RNAウイルスの感染時にはストレス顆粒 (SG) と呼ばれるタンパク質と核酸との複合体が細胞質において形成されることが知られている。そこでNAS1のSGへの関与を免疫染色で検討したところ、SGのマーカー分子であるG3bp1とNAS1は共局在しないことから、既知のSGには関与しないことが示唆された。すなわち細胞内には、HSV-1のような核内で複製するDNAウイルスにとって複製に不可欠の未知の複合体が存在し、これにNAS1が関与している可能性が考えられる。また、NAS1はスプライシング因子として知られる分子であり、またその全身性欠損は胎生致死であることから、細胞内で生存に不可欠の分子がウイルスの複製に逆に利用されている例と捉えられよう。このような感染時の現象の分子メカニズムを明らかにすることで、特異性の高い、すなわち副作用の少ない抗ウイルス薬の開発にも有用であると考えられる
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Recognition of tumor cells by Dectin-1 orchestrates innate immune cells for anti-tumor responses.2014
Author(s)
Chiba S, Ikushima H, Ueki H, Yanai H, Kimura Y, Hangai S, Nishio J, Negishi H, Tamura T, Saijo S, Iwakura Y, Taniguchi T.
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Journal Title
eLife
Volume: 04177
Pages: 04177
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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