2013 Fiscal Year Annual Research Report
TLRノックアウトマウスを用いた全身性強皮症の病態解明
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12J04204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 岳浩 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 全身性強皮症 / 線維化 / 慢性炎症 / TLR4 |
Research Abstract |
Toll様受容体(TLR)4は自然免疫系において重要な役割を果たすことが知られると共に、近年、非感染性の慢性炎症および自己免疫疾患において病態形成に重要な役割を果たすことが分かってきている。全身性強皮症についても同様にTLR4との開連が明らかになってきているが、現在、野生型マウスおよびTLR4のノックアウト(KO)マウスにおいて、全身性強皮症における線維化および免疫異常の病態をよく近似するとされるブレオマイシン誘発強皮症モデルマウスを作成して実験を行っている。現在までの検討で、TLR4KOはBLM誘発強皮症モデルマウスに認められる皮膚硬化と肺線維化を有意に抑制し、BLM誘発強皮症モデルマウスに認められる皮膚への炎症細胞浸潤とサイトカイン産生の亢進も抑制することが明らかになってきた。具体的には、TLR4KOマウスでは野生型マウスに比較してBLMにより誘発される真皮の肥厚が有意に抑制され、肺においても、同様に、野生型のBLM群では著明な肺胞隔壁の肥厚、炎症細胞浸潤が見られたのに比較して、KO群で著明にその程度が減弱しており、スコアリングによる評価でもそれが確認された。皮膚および肺組織中における炎症性サイトカインのmRNAの発現についてRT-PCR法にて検討したところ、それぞれにおいて、KOマウスのBLM群では野生型BLM群に比較して有意に線維化に促進的に作用する炎症生サイトカインの発現が低下していた。また、背部BLM局所注射部の所属リンパ節のフローサイトメトリーによるCD4陽性T細胞の評価でも線維化に重要とされるTh2, Th17のpopulationの増加が野生型に比較して減弱しており、線維化の病態に寄与していると考えられた。異常の結果より、線維化を特徴とする病態を有する疾患においてTLR4をターゲットとした治療が有効でありえる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TLR4のノックアウトが強皮症モデルマウスにおける線維化を抑制することを示す実験データの集積がこれまでに一定の達成度を得られたと考え、得られた知見を報告すべく、学術論文としてまとめ、膠原病系のTopjournalの一つであるアメリカリウマチ学会の学会誌Arthritis and Rheumatology誌に投稿し、現在Revisionとなっている。現在、これに関する追加実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
既報告により、B細胞が全身性強皮症およびBLM誘発強皮症モデルマウスにおける線維化の病態成立に重要な役割を担っていることが知られているため、TLR4KOマウスにおいてもBLM処理に対するB細胞の応答が低下しているかどうかを検討する。また、TLR4のノックアウトが線維化細胞のcollagen産生に及ぼす影響についての検討を行う。
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Research Products
(5 results)