2012 Fiscal Year Annual Research Report
ミラーセラピーの脳内神経機構の解明と電気刺激を用いた新たな治療法の効果検証
Project/Area Number |
12J04220
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲垣 侑士 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミラーセラピー / 電気刺激 / ミラーニューロン / 上肢機能訓練 / 機能的近赤外分光法 |
Research Abstract |
脳血管障害者に対する機能訓練としてミラーセラピー(MT)がある,MTの研究では,麻痺側の運動イメージや他の治療法が併用されているため、MTのみの効果は示されていない。その理由として、従来のMTでは麻痺側を動かさないため、麻痺側からの求心性入力がなく、障害半球に与える影響が少ないことから、脳内神経活動に与える影響が低く、十分な臨床効果を得にくいことが推察される。そこで筋電駆動型電気刺激を用いることで電気刺激(ES)による運動と一側上肢の運動を同期させ,鏡による視覚入力と末梢からの求心性入力を可能にした.先行研究では若年健常者にMTとESの効果を検証し,ミラーニューロン(MN)が存在する縁上回の賦活がみられたが,MTとMT+ESの差異はみられなかった.この結果は,健常被験者は実際の患者とは異なり,鏡からの視覚入力によって生じる錯覚が十分ではなかったためだと考えられる.そのため,本研究は、健常者高齢者に対してMTとMT+ESのメカニズムをMNに着目して検証することに加え、脳卒中患者におけるMTのメカニズムの同定を脳機能再構築の面から行い、即時効果を検証することを目的とする。20名の健常高齢者に対して左手の屈曲を0.5Hzで30秒間行う際に(1)黒点を見る (Task1, 4)、(2)動いていない右手を見る(Task2, 5)、(3)鏡に映った左手を見る(Task3, 6)という3つの異なる視覚入力を行い、それをETESの有無で行う全部で6タスクの効果を機能的近赤外分光法(f NIRS)を用いて比較検討した。 また脳卒中患者4名に対しても上記Taskを行った,本研究は現在解析中で詳細なことは言えないが,健常高齢者では鏡に映った一側上肢の錯覚を感じる割合が健常若年者より多く,脳血管障害者ではより強く錯覚を起こしている印象だった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在,対照群である健常高齢者の計測は終了しており,あとは脳卒中患者の人数を増やしていく必要がある.しかし,適用患者の数が少ないことや期間が短いことから,MTとMT+ESの長期効果の検証は困難な状態である.
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Strategy for Future Research Activity |
MTとMT+ESの長期効果の検証は困難な状態であるため,まずは即時効果を詳細に検証していく.対照群である健常高齢者の計測は終了しているため,今年度は脳血管障害者の人数を増やしていく必要がある.
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Research Products
(2 results)