2012 Fiscal Year Annual Research Report
腸管の腫瘍形成過程における情報伝達分子の生体内FRETイメージング
Project/Area Number |
12J04268
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 敦朗 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生体イメージング / PKM2 / オルガノイド培養 |
Research Abstract |
本研究の目的は1.マウス小腸の生体組織を用いて分子活性を可視化するイメージング系の構築を行い、2.腫瘍形成過程で起こる形態異常を誘導する因子を解明することである。この目的を達成するために、平成24年度は、 1.FRETバイオセンサー発現マウス(FRETマウス)を用いたマウス小腸の正常組織における情報伝達分子活性の可視化2.オルガノイドを用いた遺伝子解析 を行った。 1.FRETマウスを用いたマウス小腸の正常組織における情報伝達分子活性の可視化 腫瘍形成に関与する情報伝達分子のERK、JNKの分子活性をモニターするFRETマウスの小腸上皮細胞を二光子顕微鏡を用いて観察した。その結果、幹細胞や幹細胞のニッチを形成するPaneth細胞が存在する陰窩底部において、細胞間でERKやJNKの活性の差異は認められなかった。 2.オルガノイドを用いた遺伝子解析 小腸の幹細胞を含む陰窩は細胞外マトリクスのゲルであるマトリゲル内で培養することができる。Wnt経路の活性化によってどのように腫瘍が生じるのかを明らかにするために、Wnt3aのconditional medium(Wnt3a-CM)あるいはGsK3bの阻害剤(CHIR99021)存在下で陰窩を培養することでwnt経路を活性化し、マイクロアレイで遺伝子の発現変化を解析した。Wnt3a-CMあるいはCHIR99021を加えたオルガノイドの両方で遺伝子発現が2倍以上上昇する遺伝子50個を見出し、RNA干渉法によってこれらの遺伝子発現抑制を行った。これらの遺伝子のうち、PKM2に対するshRNAによってオルガノイドの成長が阻害された。さらに、大腸癌モデルマウスのAPCΔ716の腫瘍から単離した陰窩においてもshPKM2が成長を抑制した。このことから、PKM2は大腸癌の成長を促進している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題である大腸癌の腫瘍形成メカニズムの解明のために、生体内FRETイメージング系の構築、オルガノイド培養系の構築を行った。オルガノイド培養系ではレンチウイルスを用いた遺伝子操作の手法も確立することにも成功した。さらにマイクロアレイとレンチウイルスを用いたRNA干渉法によって大腸癌の原因遺伝子の候補を見出すに至った。以上の理由により順調に研究が進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は腸管腫瘍におけるPKM2の詳細な機能を生体イメージング、オルガノイド培養系の両方のアブローチで調べる予定である。生体内でPhM2の機能を調べるために、腸管上皮細胞をsiRNAあるいは過剰発現用のベクターを導入する必要がある。そのために、様々なtransfection試薬、あるいはレンチウイルスやレトロウイルスによる遺伝子導入を試す予定である。
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Research Products
(5 results)